千鶴は、ゆっくりと町田へ近づいていく。

 悠然と。その顔には、笑みを浮かべて。

 それに対する町田は、恐怖しか感じていないようで、近づいてくる千鶴を絶望の眼差しで見つめるだけだった。


「ねえ町田くん。町田くんが影でどんなふうに言われてるか知ってる?」


 町田の目の前―――そこに仁王立ちになった千鶴が、手を腰にやりながら、町田に声をかける。その顔にはやはり楽しそうな笑顔があって、それを見るに町田はたとえがたいような恐怖に見舞われる。


「……影で?」

「そう。うんとね、町田くんは影でこう言われてるんだよ ――――むっつりスケベ」

「――――!!」

「私も他の女の子に言われるまで気付かなかったけどさ。町田くんって私の体、いつもジロジロ見てくるよね。それ、みんなからはもうバレバレなんだよ」

「…………」

「だからね?」


 町田の肩に手をかける。

 それだけの動作で、町田は滑稽なほどに狼狽した。


「だから、私が町田くんのこと指導してあげるよ。もう、女の子の体、ジロジロ見ないようにさせてあげる。いや、見ないようにじゃなくて見れないっていうのが正しいのかな?」


 千鶴はここで、えへへへ、と笑い。


「女の子の体が恐いって思うほどに、私が虐めてあげるからね?」

「ひ、ひい……むぐ!?」


 叫び声をあげ、今にも逃げ出そうとしていた町田は、しかしそれ以上の動きをとることができなかった。

 千鶴は町田の頭を掴んだと思った矢先、その頭を自分の胸へと押し付けた。

 町田の顔は、千鶴の豊満な巨乳に埋もれ、もはや息もできない状況。千鶴は、町田の後頭部を両手で抱きしめて、完全に身動きを封じていた。


(う、うわ。柔らかい……それに、いい匂いだ……)


 さきほどまで恐怖で逃げ出すことしか考えていなかった町田は、顔全体に広がる千鶴の胸の感触に酔いしれていた。

 千鶴の巨乳。

 それが町田の頭でつぶれることになっており、その大きさが今ではますます強調されている。それに息をするごとに感じる、千鶴の甘い芳香。もはや町田は、夢心地のようにトロンとなり、頭を真っ白にする以外に道はなかった。

 しかし、


「じゃあ、始めるね。えい」

「むぐううう!?」


 千鶴が、その両手に力をこめる。

 その結果、町田の顔は千鶴の胸に、限界まで押し付けられた。

 もう、柔らかいだとかいい匂いだとか、そんなことは言ってられない。町田の顔は、千鶴の巨乳と両手でサンドイッチにされ、潰される。

 ぎゅううう、という擬音が似合いそうに、千鶴は町田の頭を尚もいっそう、自分の胸におしつけていた。


「えへへへ、私、ぜんぜん力いれてないんだけど。町田くん、痛いでしょ? ほらほら、女の子の胸で今、町田くんは虐められちゃってるんだよ? いつもいつもいやらしい目で見つめてる胸で……嬉しい?」

「むううううううううう」


 町田には、返答するだけの余裕がもはやなかった。自分の顔が、今まさに潰されていくのが分かる。

 それをなんとか阻止しようと町田は千鶴の体に手をかけて、必死にその拘束から抜け出そうとする。しかし、町田の手が掴んでいるのは、千鶴の下乳のあたりで、


「なに? 町田くん。まったく懲りてないの? そんなに女の子の胸が好きだなんて、じゃあもっと味わさせてあげるね」


 そう言うと千鶴は、さらに腕に力をこめた。何かが潰れる音が響く。

 ニコニコと楽しそうな笑顔で男の力を軽々と凌駕する。千鶴の胸にさらに押し込まれた町田は、くぐもった悲鳴をただただ千鶴の胸に吐き出すしかなかった。


「むううううう!! むうううううう!!」

「ほら、はやくその手をどけないと、もっと力をこめちゃうよ? どうする? 町田くん。このまま私の胸で潰されてみる?」

「むううううう!!」


 その言葉を聞いた途端、町田は素早く千鶴の体を離した。

 その腕は所在なさげに宙にとどめられたままで、頭部に走る激痛ゆえにプルプルと震えている。

 叫びながら、女の子の胸に拘束され、そして潰される。体に力が入らないのか、今では町田はヒザを床についていた。それを千鶴が仁王立ちの格好で、町田の頭を自分の胸に押し付けている。

 夜の校舎。

 普段は授業などで使われている空間が、今では男を虐めるための特設場になっていた。


「ふふふふ、どう? 町田くん。すこしは反省したのかな? 女の子の体をイヤらしい目付きでも見るのがどんなにイケないことなのか、ちゃんと分かった?」

「ム……んん……うううう」


 千鶴の問いかけに町田は答えることができない。

 もはや町田の意識は堕ちかかっていた。千鶴の巨大な双丘によって鼻と口は完全にシャットアウトされており、空気を吸うことなんてできるはずもない。

 そのうえ、頭部に走る激痛によって泣き叫ばされ、町田の肺にはもう酸素が残っていなかった。

 なんとか空気を吸おうと試みるが、得られたのは千鶴の甘い芳香だけだ。女特有の甘いにおい。それを嗅ぐのは本来なら嬉しいはずなのだが、今ではそれこそが絶望の種だった。

 視界は暗闇。感覚として残っているのは顔に広がる激痛と、後頭部をささえている千鶴の手の感触、そして鼻腔をくすぐる千鶴の体の匂いだけ。

 トロけてしまいそうな芳香。それを半ば強制的に嗅がされる。まさにそれは天国と地獄であり、町田の限界をよりいっそう深めていた。


「…………ん……む……」


 町田の身体がピクピクと震え始める。

 仁王立ちの千鶴の前に膝をつき、女の胸の中に拘束されている男の図。

 もはや町田の頭は真っ白になり、へんに気持ちよい感じを受けていた。

 ピクピクと、堕ちる寸前の町田。段々と抵抗してくる動きが少なくなっており、それを見るに千鶴は笑みとともに、


「えへへへ、もう限界だね? ギリギリまで苦しませて、堕ちる限界まで締めつけてあげるからね」


 嬉しそうに笑っている。声にもその感情が滲み出ており、可愛らしい声質は、普段であるならば町田の脳をトロけさせるのに十分。

 だがしかし、今となってはその千鶴の声は恐怖の対象でしかない。

 顔面にはやわらかい肉の塊。夢にまでみた千鶴の胸。そこに顔をうずめながら自分は窒息しようとしている。

 さきほどから、苦しみのあまりに涙がとめどなく流れていた。おそらく千鶴に解放されれば醜い顔をさらすことになるであろうことが容易に予想できる。

 それら涙は万力の力で千鶴に締めつけられているため、流れるごとに千鶴の制服に染み込まされている。

 ぎゅううううう、と。

 それほど力を込めているようには見えないのに、町田の頭には想像を絶する痛みと、そして苦しみを感じていた。

 ビクビクと震える。

 それはもう痙攣の域だ。


「あはははは、町田くん面白いよ? 町田くんの体、ビクビク痙攣しちゃっている。私、ぜんぜん力いれてないんだよ? それなのに町田くんは何もできないなんて……えへへへ、弱すぎだぞ」


 一人の女の子に拘束され、今にも町田は堕ちてしまいそうになっている。

 ビクビクと。

 その動きが限界に……、


「はい、もう限界だね」

「ぷはああああ!!」


 少しだけ、町田を拘束していた腕の力をとく。途端、町田の顔面と千鶴の乳房との間に隙間ができ、なんとか息ができるだけの余裕ができた。

 はあはあはあ、と。まるで犬が舌でもだして空気を吸うような様相で必死に酸素を補給する町田。

 今だに自分の後頭部には千鶴の手が添えられ、目の前には凶器と化している巨乳があるというのに、町田はそれには意識をやる余裕がない。

 ただひたすらに息をする。だがしかし、それを千鶴がいつまでも許しておくはずがなかったのだ。


「はい、じゃあもう一回ね」

「え!? ――――むぐ!!」


 再度、万力が町田の顔面に殺到する。

 ぎゅううううう、と町田の頭を締め付け、息をするのを許さず、ビクビクと痙攣する男を楽しそうに見つめている千鶴。

 それは無邪気そのものだった。

 町田のことを教育するという名目―――それに正当化された千鶴の隠された願望がここに顕現している。

 自分の力が、運動部の男の力を軽く凌駕している。無邪気さはそのままに、千鶴の中にはその快感が隠された感情として、無意識下に存在していた。


「えへへへへ、苦しい? 苦しいよね? 痛いよね? でもやめてあげないよ。だってこれは町田くんのためなんだもん。いっぱいいっぱい。虐めてあげるからね」

「むうううううう!! むううううううう!!」


 ………………

 …………

 ……


 そして、どれくらい時間がたっただろう。

 あれから今まで、千鶴は町田の顔面を自分の胸で拘束し、町田を圧迫し続けてきた。

 身体が震え、痙攣が増し、もう少しで意識が堕ちてしまうというギリギリまで町田に息をすることを許さず、しかし気絶するということすら許さない。

 限界まできた瞬間に、力を緩め、町田に息をさせる。

 その千鶴が腕の力を緩める時間もまたまちまちで、町田のことを開放したと思った瞬間に、また町田の頭部を自分の胸にこすりつけたりと、その時間は等間隔ではなかった。

 まるで一人の男を玩具のようにして遊ぶ。

 千鶴は楽しそうに、年端もいかない少女のように、今まで町田が苦しむさまを観察していた。


「うん、もういいかな。町田くん、もうボロ雑巾みたくなっちゃって、全然抵抗してくれないから、私も楽しくないし」

「……むむむむ……ううううう……」


 千鶴の言うとおり、町田の体はぐったりとして力をなくし、今では千鶴の胸に頭部が貼り付けにされ、そこから宙吊りになっているような有様だった。

 当初は響いていた悲鳴も薄れ、今はもうくぐもった声しかだせていない。

 千鶴は自分の胸に拘束しているそんな男の様子を見て、どこか楽しくなさそうな表情を浮かべながら、


「うん、よし!! じゃあこれくらいにしておこう!!」


 千鶴が町田を解放する。

 抑えていた町田の後頭部から手をどけ、その結果体に力が入っていなかった町田は、勢いよく床に倒れ込んだ。

 今まで千鶴に体を支えられていたのが一転、いきなり離された。仰向けの形で床に倒れる町田。力ない感じで横たわり、必死に空気を吸っている。


「えへへへ、すごい涙だね町田くん。私の制服もびちょびちょになっちゃって……あ、そうだ」


 何かに気づいた様子の千鶴は、笑顔のままに町田に近づく。


「さてと。じゃあ町田くんが女の子の体をいやらしい目で見ないようになったか、ちょっと試験してみようかな」


 言うとそのまま寝そべっている町田のことを片手で強引に座らせる。

 涙と鼻水でぐちょぐちょになった町田の顔。その顔には隠せないほどの恐怖の感情が浮かんでいた。


「ゆ、許して……もう、もうやめてください」

「えへへへ、じゃあ行くね」


 町田の哀願などまったく無視して、千鶴は動きをとった。

 町田の眼前に近づき、両手を腰に、そしてゆっくりと胸をはった。

 千鶴の巨乳が胸をはることによってさらに強調される。制服を突き破らんがごとく、大きく隆起した千鶴の胸。制服の色である紺色とのコントラストで、そこには雄であるならば抗えないような色気が生まれていた。

 その巨乳が、町田の眼前、すぐ目の前に展開される。

 ぐい、強調された千鶴の胸。それを見るに町田は、


「ひ、ひい」


 何か怖いものでも見たかのように町田は怯える。

 それを見て千鶴は「よしよし」と面々の笑顔を浮かべた。


「うん。これで町田くんは女の子の胸をいやらしい目つきで見ることはないかな。ふふふ、なんだかコレ、調教みたいだね?」


 結果に満足したのか、千鶴はゆっくりと立ち上がった。

 千鶴の言う通り、その結果はもはや調教だった。女の体を見て恐怖を覚えるのであればもういやらしい目で女の子を見ることはないだろう。そう考えたからこそ千鶴は、自分の胸をつかって町田のことを虐めたのだ。

 自分よりも遙かに強い力を持つ千鶴。

 その千鶴が立ち上がったことで、町田は安堵の感情を覚える。


(や、やっと解放される。やっと……)


 へなへなと倒れる町田。自然と四つん這いの格好になり、両手を床について「はあはあ」と息を荒くする。

 これで今日は帰れると、もう虐められることもないと、町田はそう安堵するのだが……


「まだだよ、町田くん」


 背後で聞こえた千鶴の可愛らしい声。

 千鶴の調教はまだまだ続いていく……。

(続く)
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