両脚で男の頭部を挟み込み、圧迫を続けていた少女。

 彼女は、もう抵抗らしい抵抗すらなくなったボロ雑巾のような町田の姿を見て、一瞬だけ脚に力をこめるのをやめた。

 そして、町田の髪の毛をわしづかみにすると、力任せに上を向かせ、その表情を見えるようにする。

 四つん這いの状態で、上から押さえつけられるようにして、仁王立ちで立つ千鶴の両脚に挟み込まれている町田。

 結果として、町田は頭上から見下ろしてくる千鶴の満面の笑みを仰ぎ見るような形となって、惨めといったらなかった。

 脚だけで男の力を圧倒する千鶴は、自分のこと捨てられた子犬のようにして仰ぎ見てくる、そのクラスメイトの姿を見て、心底嬉しそうに言葉を漏らした。


「うわ〜、町田くんの顔、涙でぐじゃぐじゃになっちゃったね……顔が真っ赤をとおりこして、ちょっと青くなっちゃってるよ?」

「ゆるひて……増田さん、もう、ゆるひてください」

「ん〜、さすがに、脚で絞めるのはちょっと飽きたかな……」


 言うと千鶴は、脚から力を抜き、自分の股に拘束していた町田を開放した。

 地面に横たわり、力なくぐったりしている哀れな男。

 もうどうにでもしてという諦めが町田を支配し、何をされても反応しない人形のような状態となっていた。

 それを見て、千鶴はニコニコと笑顔を継続する。

 そして、次なる調教へと移った。


「えーと、最初は胸で窒息させて、次は脚で絞めてあげたから……よし!! その次は打撃系だ!!」


 嬉しそうに、鼻歌交じりで言うと、千鶴は横たわったままに動かない町田に近づいた。

 ひい、と悲鳴をあげる町田。

 しかし逃げるなんてことが無駄であることを理解している町田は、そのまま千鶴に為すがままにされるしかない。

 千鶴は、えへへへ、と笑いながら、うつ伏せで横たわっている町田の襟首と脚を掴む。

 そして、町田の体を、軽々と宙に持ち上げた。


「うわー、軽い。男の子ってもっと体重あるのかと思ってた」


 町田の襟首と脚を掴み、そして持ち上げる。

 それをなんでもないように行った千鶴は、宙に持ち上げられ、「ひい、ひい」と悲鳴を漏らすしなかできない町田の全身をゆっくりと見つめながら、 


「町田くん、もっと筋肉つけて、体重つけたほうがいいと思うよ? 女の子とに軽々と持ち上げられてるようじゃ、ダメだぞ〜」

「ひ、ひいい……許して、もう許してくださいぃぃ」

「うん、じゃあヤるね」


 町田の哀願に聞く耳を持たず、千鶴は目の前の体に狙いを定める。

 地面に水平になるようにして、宙に持ち上げられている町田。

 千鶴は、町田の襟と足首を掴んで拘束したまま、その無防備な腹に自分の膝をたたきこんだ。


 ボフウウウうう!!


「ヒャはああああッ!!」


 千鶴の膝蹴り。

 それが、ものの見事に町田の腹に命中する。

 大気を揺らすような打撃音が響き、町田の口から悲鳴がほとばしった。


「はい、もう一発〜」


 ズドオオオオオオオオンッッ!!


「ッヒがあガガあああッツッツ!!」


 スカートから伸びた脚線美。

 その肉感たっぷりの女の脚が、町田の腹に次々に直撃していく。

 千鶴の太ももが躍動するごとに、膝が町田の腹に減り込み、男の意識を刈り取ろうと衝撃を与える。

 しかし、町田の限界というものを、これまでの調教で知っていた千鶴は、町田が耐えられる限度でもってしか、打撃を繰り出さなかった。

 意識を手放すことさえ許さない。

 町田のことを空中で、まな板の上に横たわるマグロ状態にしながら、千鶴はさらに膝蹴りを放っていく。


 ボグウウウウウ!!

 ベギイイイぃぃぃ!!

 ドスウウウウウウんんッッ!!


「ひゃがああああ!! ひいいいぃぃ……がヴぉぶええええっ!!」

「ほらほら、町田くんの好きな脚だよ〜。蹴られて嬉しいでしょ?」

「や、やめ、ぶげえええええおええ……!!」

「あははは、えい!! えい!! えへへ、膝蹴り地獄だね。なんなら、このままず〜と、町田くんのこと蹴り続けてあげようか? 私がその気になれば、何時間だって町田くんのこと膝蹴りできちゃうんだからね」

「もう、やみぇへえええええええ!!」


 千鶴に宙吊りにされながら、次々に放たれてくる膝蹴りを甘受するしかない。

 全身を貫くような打撃が入るたび、頭が真っ白になって、次の瞬間には視界がブラックアウトする。

 その膝蹴りは恐怖の対象でしかなく、膝蹴りが自分の体に食い込んだ瞬間には、次の膝蹴りに怯えることしかできない。

 怖い。とんでもなく、怖い。

 その痛みがいつくるのか。

 焦らしたうえで、感覚を置いて強い打撃がくるのか。

 それとも、連続して、まるで猛々しい男が、女を犯すような激しさをもって、その膝を自分の腹に突き入れてくるのか。

 同級生の、クラスメイトに、町田は純然たる恐怖しか感じていなかった。

 いくら暴れても、千鶴の怪力は衰えることをしらず、自分の体は宙に横たえられたままである。

 その状況のままで、容赦なく襲い掛かる激痛と、楽しそうな千鶴の笑い声を聞き続けなければならない。

 膝蹴りのたびに目玉が飛び出て、肺の中の酸素はすべて吐き出される。

 空気を求め、舌が口の中から飛び出す。

 涎を周囲に撒き散らすしかなく、それ以外に口からでるものといえば、痛みに対する絶叫と、千鶴に向けて発せられる命乞いだけしかない。

 町田の悲鳴は、すでに人間のものではなく、理性の消失した獣のような鬼気迫るものに変わっていた。


「やぎゃあああハハぁあう!! ヴぁぎぎゃっああぎゃぎゃ!!」

「すごい悲鳴っ!! ほら、もっとだよ。もっといい声で鳴いて!!」

「やぎゃあああ……もうやみゃてええぎゃヴぉうええええ!!」

「なんか私、リフティングしてるみたいだね。町田くんの体がボールで、それを私が右脚でひたすらにリフティング……えへへへ、何回続くのかな」


 一回、二回、三回、

 連続して、ドスン!! ドスン!! と町田の体を破壊していく千鶴。

 本人は気付いていないが、彼女の瞳にははっきりとした愉悦が浮かんでいる。

 それも危なげな、自分の行為にウットリと心酔しているような潤んだ瞳。

 男の悲鳴。

 膝に伝わる男の体の感触。

 必死に命乞いをする哀れな姿。

 相手の生殺与奪権を自分が握っているという優越感と絶対感。

 それらに酔っている千鶴は、さらなる膝蹴りを放ち続ける。もはや集中してみないと、脚の動きが見て取れないような激しさで、町田のことを犯す。

 膝蹴り。

 そのたび町田の体は激しく震え、命を撒き散らし、悲鳴を零しながら、必死に命乞いをする。

 夜の教室に、すさまじいまでの打撃音。

 男の体を壊す音が、轟きわたる。

 しかも、それはさらなる激しさをもって町田に襲い掛かり、ついに1秒も間隔をおかず、間断なく千鶴の膝が町田の腹に減り込み始めた。


 バギイイイイ!! ボギイイイ!! ズドオオオ!!

 ヴァギイイッ!! べぎいいっ!! ボグウウウウンっ!!

 ブジイイイイ!! ブジャアッ!! ゴグググンンッッ!!


「ひゃああ!! あひゃああ!! ぶげえええ!! げぼうえええッ!! ひぎゃあああ!! やみゃぐげええ!!」

「アハ……あはは、ふふふ、いい悲鳴〜。もっと、もっと……」


 女性のふくよかな脚が、男の命を刈り取る凶器へと変わっている。

 間断なく、とてつもない激しさで、町田のことを犯す千鶴。

 そこには段々と手加減というものがなくなってきており、危うい状況が形成されつつある。

 しかし次の瞬間、町田にとっても千鶴にとっても救いとなる現象がおこった。

 膝蹴りを喰らい続け、ボロ雑巾のように扱われている町田の口―――そこから、赤色の液体が、盛大に、


「―――ガボオオオ!!」

「あ、やば」


 喀血。

 その事態に、我を忘れつつあった千鶴を現実に呼び戻した。

 血を吐き出し、咽ている町田の姿。さすがにその光景を見るに、少々やりすぎたのだと思ったのだろう。

 千鶴は、町田の体を地面へと下ろす。

 ゆっくりと、慈悲深い手つきをもって、町田の体を地面へと横たえ、そして今だに喀血によって咽ている町田の背中をさすってやった。


「ご、ごめんね町田くん。ちょっと、やりすぎちゃったみたい」

「ゲホっ、げほうえええっ」


 優しく、今までの行為が嘘のような様子で、背中をさすってくれる千鶴の姿。

 それを感じて、さきほどまで受けてきた残虐な調教からやっと解放されると思ったのだろう。

 町田は、そんな千鶴を、なんて優しい女の子なんだと、場違いな感想を抱いた。

 許してくれるなら、もうなんだっていい。

 とにかく、今この苦しみから解放されたい。

 千鶴の調教を受けてきた中で、常にそう思ってきた町田は、千鶴に少しだけ優しくされただけで、もうすべてを許す気になっていた。

 いや、すべてを「許す」どころではない。

 千鶴に許してもらえること―――ただそれだけのことに、町田は心の底から感謝し、千鶴のことを天使のような可愛らしい女の子だと感じているのである。

 その意味で、千鶴の調教は一つの結果を得たのだといっても過言ではなかった。

 従順で、どんなことがあっても逆らわない奴隷が、今ここに形成されたのである。


(よかった。これでもう、ボクは許してもらえるんだ)


 喀血が収まり、口の中の血液で咽ぶこともなくなった町田。

 これ以上の苦しみを受けることはないということに、無上の喜びを感じる哀れな男。

 しかし、そんな安堵を、目の前の少女は、いとも簡単に崩した。

 町田が大丈夫そうだと気付くと、千鶴は「よかった〜」と心底安堵したあとに、


「それにしてもさ。町田くんのお腹って、ぜんぜん腹筋ないよね。どこも割れてないじゃん」

「……と、とつぜん、どうしたんですか? ほ、ほら、今日はもう遅いし、はやく帰ったほうが……」

「わたしよりも腹筋ないんじゃない? ほら、ちゃんと自分の目で確認してみなよ」


 町田の言葉を聞かず、千鶴はブラウスのボタンを外すと、おもむろに自分の腹筋を外気にさらした。

 町田の目の前、そこには衣服をまとっていない千鶴の腹筋がある。

 鍛え抜かれた筋肉が、そこにはたずさわっていた。


「う、うわ……」

「ね? ムキムキってわけじゃないけど、ちゃんと割れてるでしょ?」


 言葉のとおり、町田の目の前には見事な腹筋がある。

 自分のものとは比べ物にならないくらいに鍛え抜かれたその体。

 それを見るに、町田は劣等感から自然と視線を逸らそうとするのだが、


「そうだ。じゃあ次は、これで調教しちゃおうかな」

「な、何を、ムグウ!?」


 町田の事情などどうでもよかった。

 千鶴は、自分が満足したいがために、さらなる責め苦を町田に与える。

 涙と鼻水でぐしょぐしょになった町田の顔面を、自身の腹筋へといざない、そのまま押さえつける。

 千鶴の腹筋に、町田の顔面が突っ伏すように食い込んでいる。

 町田の頭部を抱きしめて、自分の腹筋へと押し付ける千鶴。

 町田の顔面には、鍛え抜かれた千鶴の腹筋が押し当てられることになった。


「ほら、だんだん力がはいってくよ〜。抵抗しないと、私の腹筋に顔潰されちゃうぞ〜」

「ムフウウウウ!……むむむぅぅぅッ!」

「アハ。まあ、暴れてもまったく問題にはならないんだけどね。私のほうが力強いってことは、もう分かりきってることだし……このまま、私のなすがままだね」

「むむギュゥゥ! ……ひゅうう!」


 目は虚ろになり、レイプ後のように精気の感じられない瞳が浮かべられる。

 顔面には、男の筋肉とは違う、ゴムマリのような柔らかい筋肉があって、それによって自分の顔面が潰されていく。

 恐怖のあまり暴れても、まったくビクともしない。

 自分では、千鶴に抵抗などできるはずもない。

 ただひたすら、許しを哀願するしかできない。

 まるで従順なペットが、飼い主の気まぐれが収まるのを待つような心境。

 ペット。

 奴隷。

 それらと自分が唯一違うとしたら、自分のことを支配しているのが、ついさきほどまで自分と同じ同級生―――クラスメイトだったということだ。

 今まで対等な立場にあったはずなのに、今では明らかな力の差がある。

 それは肉体的な意味もそうだが、それよりも精神的な意味において、町田と千鶴の間には、絶対的な差が存在した。

 もはやその顔を仰ぎ見ることさえ叶わない。

 どんな命令にでも忠実に従うという絶対服従の忠誠心を、町田は植えつけられたのだった。


(ウっぎゃギギギ……これいじょう、許して許して……痛めつけるのはやめてえええギャギャぎぎ……どうかどうかお願いお願いヒャアあぁぁあお願いします許してゆるしてお願いしますお願いしまッギャッギイつぶれつぶれる潰れててて潰れて)


「アハ。ほら、町田くんの顔から、またバギバギって音がしてるよ?
 さっきまでは私の胸と脚だったからね。ちょっとは柔らかかったから、そんなに痛くなかったかもしれないけど、今回はわたしの腹筋だからね。えへへ、けっこう痛いでしょ?」


(やみゃあッギャひいいいゆるしてゆるひてゆる……もう、千鶴さま……ゆる…ひてエエエエッッ……助けて助けてたすけたす許し助け…)


「あれ? なんか体も暴れなくなってきちゃったけど……なに、もう限界なの? 今回はちょっとはやすぎないかな」


(やギャアええぁぁああぁ千鶴様、ゆるしてゆるしてひいいいいつぶれてる潰潰潰潰潰潰潰潰れててて潰れてヒギイイイ千鶴さま千鶴さまアッギャぎぎぎ千鶴様千鶴様千鶴様ちづるさま千鶴さまヒャっぎゃああ)


「ん〜、ちょっともうマズいのかな。さすがにこれ以上は壊れちゃうか……」


(ちづちづるサマ千鶴様千鶴さま、どうかギャアぁああぁゆるして何でもしますから許して許して…助け助けっぎっがつぶれる潰れるもう無理だからぎゃああ潰れちゃうやみゃへええたすけてたすけて…ちづ千鶴さまちづるサマ千鶴さまどうかどうかどうか許して許許して…)


「よし! じゃあ今日はこれくらいで勘弁してあげるよ! えへへ、よかったね町田くん」


 バギバギと壊れていく男の顔を抱きかかえながら、千鶴はその男の後頭部を笑顔で見下ろした。

 そして、千鶴はゆっくりと―――


「じゃあ、また明日、続きだからね」


 えい!! という可愛らしいかけ声が響く。

 それとともに、町田の体から力という力が抜けた。

 ビクっと痙攣し、そして町田はようやく気絶を許されたのだ。

 どれくらいの力をいれれば町田の意識がなくなるかを、千鶴はすっかり熟知していた。

 だから、町田の意識を刈り取るくらい、千鶴にとっては造作もないことだったのだ。


「あ〜、はやく明日にならないかな〜」


 千鶴は、心底楽しみと思っているような、満面の笑みで呟いた。

 今だに町田の顔面を自分の腹筋にグリグリと押さえつけながら、千鶴はすっかりと、男をイジめることに対する快感に取り憑かれていた。

 町田にとって、これがすべての始まりになった。


(続く)