町田が、ボールペンをはしらせる音で目を覚ますと、そこはシーンと静まりがかえっている学校だった。

 自分の教室。そこで机に突っ伏して寝ていたようで、体中がところどころ痛い。

 まるで、部活を精一杯頑張ったときのような、疲労の色が見て取れる。

 しかし、今日は部活は休みのはずで、げんに自分は今日の放課後、千鶴と一緒に日直の仕事を・・・・・・


「あ、町田くん、やっと起きたんだね」


 可愛らしい声色。

 それは、向かいに坐った増田千鶴が発した言葉だった。

 片手にボールペンを握り、机の上にはアンケート用紙とそれを集計するために使う計算用紙がある。

 さきほどまで聞こえていたボールペンの音は、千鶴がアンケートを集計するときの音だった。

 町田は寝ぼけ眼のままで、目の前の可愛らしい同級生の顔を見つめる。

 すると、形容しがたい違和感が胸の中に広がった。


「あれ?」


 町田が、困惑したように言葉をもらす。

 さきほどまでの記憶・・・・それを思い起こすに、アレは夢だったのだろうかと、町田は今だに寝ぼけた頭で考える。

 千鶴に力ずくでめちゃくちゃにされたこと・・・・・。

 顔面を胸に埋もれさせられて窒息死させられそうになったり、

 カモシカのような脚に首を絞められたり、

 膝蹴りをされたりと、残虐のかぎりを尽くされたこと。

 それを思い返すに町田は、やはりアレは夢だったのだろうかと、町田は首をかしげる。

 というか、どう考えても夢だとしか思えなかった。


(そうだよ。だっていくらなんでもおかしいもん。女の子に手も足もでずになぶりものにされて・・・・・・まるで犯されるように虐められただなんて)


 自分は疲れていたのだろうかと、町田は思う。

 日頃の部活で疲れていたから、千鶴に虐められる夢なんか見るんだと、町田は小さく嘆息した。


「まったく〜、女の子にアンケートの集計任せて気絶しちゃうなんて、町田くん、ちょっと情けないぞ〜」

「あ、ごめん・・・・・その、手伝うよ」

「いいよ、もう。ほら、もう終わっちゃったしさ。これは貸しということにしておくからねっ」


 元気よく、いつもの満面の笑みでそう言ってくる千鶴。

 どこか天然がはいっているというか、その不思議な女の子の姿は、やはり可愛らしいものだった。

 自分のことを虐めるようなそんな娘ではない。

 やはり、アレは夢だったのだ。

 町田は、何故あんな夢を見たのだろうかと、そこにこそ疑問を感じる。

 なんだろう、自分の中にはああいう願望があるのだろうかと、自分の性癖を思い返したりもした。


(まあ、とにかくよかった、アレが夢で。なんだか体中が痛いけど、そんなことより、今は増田さんに謝らなくちゃ。機嫌は悪くなってないけど、それでもこういうことはちゃんとしておかないと・・・・・)


 町田は、いつのまにか自分が寝てしまったことを、何かで穴埋めできないかと考える。

 自分の好きな女の子に、アンケートの集計を任せて寝てしまったという落ち度を帳消しにするため、なんとかいい方法はないかと考えるに、


「あ、そうだ。増田さん。寝ちゃったおわびに、今度何か奢るよ。学食かなんかでも、今度さ」

「え? なんで?」

「いや、だからさ。増田さんにアンケートの集計任せて、ボク寝ちゃったからさ。そのお詫びに・・・・」

「寝ちゃったって、町田くんがいつ寝む・・・・・・」


 途中で、何かに気づくように言葉を切る千鶴。

 「ああ、そういうことか」と、千鶴は納得のいったように「うんうん」とばかりに頷いている。


「えへへ、町田くん」

「な、なに、増田さん」

「忘れちゃったんなら、思い出させてあげるよ」

「な、なにを・・・・・」


 いつものように天真爛漫といった千鶴の様子。

 その様子のまま、千鶴は立ち上がると、町田の手を掴んで、強引に町田を立ち上がらせた。

 その力は有無を言わせないもので、抵抗などできないほどだ。

 目の前には、満面の笑みを浮かべた千鶴の相貌。

 楽しくてしかたがないといった様子の千鶴が、条件反射で怯えた表情になった町田の顔を見つめている。

 そして、「いい声で泣いてね」という前置きのあと、


「えいっ!」

「ぐぎゃああああああ!!」


 抱きつく。

 千鶴の両腕が町田の背中にまわり、そのまま千鶴は、町田の胴体を強く抱きしめた。

 万力のような圧力。

 プレス機のような力の強さ。

 千鶴の巨乳が、自分の胸のあたりで潰れているが、その感触を楽しむ余裕などあるはずがない。

 突如として千鶴から与えられるベアバックという拷問に、町田は心の底から悲鳴をあげるしかなかった。


「えへへへ、苦しいでしょ町田くん」

「あぎゃああギギッッ!!」

「すごい悲鳴だね。ほら、ぎゅうううう、ぎゅううううう。えへへ、町田くんの体、バギバギって潰れていってるよ? 」

「ひぎいいいィィッッッ!! やみゃげええええッッ!!」

「これで分かったでしょ? たぶん、町田くんはさっきまでのことを夢でも見たって思ってたんだよね。でも、そうじゃないよ。さっきまでのことは、全部事実なの。町田くんは私に調教されてたんだよ。こうやってねっ!」


 町田の悲鳴を聞き、千鶴の瞳の輝きが増す。

 そして、さらなる締め付けを、町田の体に施してやった。

 千鶴の柔らかい、ふくよかな体。

 そこに町田の体は、若干ではあるが埋もれ込んでいる様相さえ呈している。

 豊満な千鶴の体―――そのスタイル抜群の体に、町田の体が食い込むようにしておしつけられている。

 制服を突き破らんとする千鶴の大きな胸が、町田の胸部を潰そうと、凶器に変わる。

 身長は自分のほうが大きいのに、自分とは比較にならないほどの大きな存在に潰されていくようなイメージ。

 暴れようにもどうしようもない。

 暴れる前から、それが無駄だということが分かる。

 目の前。自分の顔を満面の笑みで見つめてくる千鶴の姿。

 その可愛らしい同級生の顔を強制的に見つめさせられながら、町田は内心で絶望を思った。


(今までのことは・・・・全部・・・・・実際にあったこと・・・・・)


 千鶴に手も足もでずに圧倒されたこと。

 その大きな胸で虐められたこと。

 その脚線美で調教させられたこと。

 そして今も、女の子に抱きつかれて、その柔らかい体で潰されていくという現実。

 それを認識するに、町田は形容しがたい絶望に支配された。


「ほらほら、また堕としてあげようか〜? 女の子に抱きつかれてるだけで気絶しちゃうなんて最低だけど、でも、町田くんは私とは話しにならないくらいに弱いんだから、手も足もでずに堕とされちゃったって別にいいんだよ?」

「アギャぎぎぎゃああッッッ!! ゆるしひゃああ!!」

「ほら、これで分かったでしょ。今までのことは夢なんかじゃなくて、町田くんは実際に、女の子に虐められてたってこと、ちゃんと分かったでしょ?」

「わがったがらあああ!! やみゃギャアぎぎぎッッ!!」

「ん〜? なんていってるか分からないよ、町田くん。もっと絞めてあげようか? 私、まだぜんぜん力いれてないんだから」

「わがりびゃしぎゃああああ!! わかりばじたからああああッッ!!」

「よしっ! それなら許してあげよう」


 ポイっと、町田の体を離す千鶴。

 涙と涎で、またしても顔を汚した町田は、自分の力で立っていられなく、地面へと倒れ込んでしまった。

 全身に伝わる激痛。

 その地獄とは対照的な女の子の甘い芳香。

 さらには、すぐ近くに立った千鶴の両脚。その地面に横たわった町田の頭の先に、千鶴は泰然と仁王立ちしていた。

 町田は「ヒイヒイ」と悲鳴をあげながら、その絶対高位の存在を仰ぎ見ることしかできない。

 手を腰にやって、地面に横たわる自分を見下ろす千鶴の姿。

 スカートの中身を見られることに抵抗がないのか、千鶴は無防備に、町田の頭のすぐ近くに立つだけだった。

 自分をコケにするように立ちふさがりながら、ニコニコと笑みを浮かべて、見下ろしてくる千鶴の姿・・・・・

 町田は、そんな屈辱的な格好のままで、頭上から可愛らしい声が振り下ろされるのを聞いた。


「よしよし、これからは毎日、私が町田くんのこと調教してあげるからね。女の子の体をエッチな目で見ないように、私がしっかり調教してあげます。嬉しいでしょ〜」

「・・・・・ゆる、して・・・・・」

「あ〜、楽しみだな〜。ね? 楽しみだよね」


 楽しみなわけがない。

 それでも、ここで否定的なことを言ったら、何をされるか分からない。

 町田は、か細く、今にも消えるような声で、


「は、はい・・・・・楽しみ・・・・です」

「だよね〜。えへへへ、いっぱい虐めてあげるからね、町田くん」


 自分をこらしめるだとかいう以前に、人を虐めることが楽しいのではないかと思わざるをえないような、千鶴の楽しいそうな表情。

 そんな千鶴の姿を見るに、町田は、何か目覚めさせてはいけないものを目覚めさせてしまったのではないかと、ブルっと身震いを感じた。


(これから・・・・・・何かと理由をつけて、増田さんはボクに暴力を・・・・・)


 泣き出しそうになりながら、町田は尚も地面に這い蹲ったまま、千鶴のことを仰ぎ見るしかできない。

 ニコニコと、楽しそうに笑いながら、自分のことを見下ろしてくる千鶴の相貌。

 同級生に、見下ろされる。

 今まで対等だと思っていた存在に、見下ろされる。

 その屈辱感。

 それでも町田は、頭上高いところにある千鶴に、淡い恋慕を感じていて・・・・・


「これからよろしくね、町田くん」



(第一部、完)
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