次の日も町田のマネージャーとしての仕事は忙しかった。

 ソフトボールのベースを配置する。

 飲み物を準備するために重いドリンク入れを運ぶ。

 そんな普通のマネージャーとしての仕事だけであれば、町田としてもなんとかやっていけただろう。

 1年生の女子部員の部室を貸してもらっているのだから、それくらはしなければならないという意識は町田には常にあった。

 しかし、普通ではない仕事。

 普通のマネージャーなら絶対にやらない仕事に、町田は苦しめられた。


「ほら、ここ汚れ落ちてないわよ」


 練習の小休憩のグラウンドだった。

 ベンチに座っているのは彩華だ。

 彼女は、長く逞しい脚を組んで、地べたの町田に奉仕させていた。


「ちゃんと、スパイク綺麗にしなさいよね」

「は、はい彩華先輩」


 彩華のスパイクをさきほどから必死に磨いているのは町田だった。

 彩華はスパイクをはいたままだ。

 彼女のスパイクは、地面に正座をした町田の太股の上に置かれている。

 スパイクの歯が町田の太股に食い込んでいるが、そんなことは彩華にはどうでもよかった。

 地面に正座をさせた男の太股をスパイクのまま踏みつけにして、スパイクを磨かせる。

 女主人が奴隷に奉仕させている。

 そんな光景が、高校のグラウンドに展開されていた。


「ほら、ここ。まだ汚れてるわよ」

「す、すみません」


 町田は言われるがまま、タオルでごしごしと彩華のスパイクを磨いていった。

 時折、自分の太股に置かれたスパイクが、ぐりぐりと動かされる。

 そのたびに、スパイクの歯が太股に食い込み、激痛が走った。

 すがるように下級生の先輩を見上げると、彼女はこちらをニヤニヤと見下ろしているのだ。

 正座をしている町田からすると、ベンチに座っている彩華の巨大さはさらに増した。

 反抗する気にすらなれない格の違いのようなものを、まざまざと見せつけられた気になる。

 年下の女子に・・・・・・

 この前まで中等部だった女の子に・・・・

 強制的に敬語を使わされ、彼女のスパイクを磨かされる屈辱。

 町田は歯を食いしばって、耐えるしかなかった。


「ちょっとちょっと、はやくしてよね」

「まだまだあとがつかえてるんですからねー」


 そして、そんな屈辱を町田に与えているのは彩華だけではないのだ。

 ベンチの周りには、一年生の女子部員が勢ぞろいしていた。

 町田を取り囲むようにして、高身長の肉の壁が立ちはだかっている。

 彼女たちは練習中の暇つぶしとばかりに、男子虐めを楽しんでいるのだった。


「彩華ちゃんが終わったら次はわたしたちのスパイク磨いてもらうから」

「休憩中に磨けなかったら、お仕置きかな」

「彩ちゃんほどじゃないけど、わたしたちのお仕置きも、けっこうすごいんですよ?」


 くすくす笑い。

 少女たちの輪の中で、町田は萎縮してしまう。

 昨日のビンタのことがイヤでも思い出される。

 彩華に永遠ビンタされ、気絶させられたこと。

 きっと、この少女たちも、同じことをしようと思えばできるのだろう。

 男の胸ぐらをつかんで宙づりにして、男がどんなに抵抗しても完全に無効化して、気が済むまでビンタする。

 童顔で、まだまだあどけなさが残る少女たち。

 そんな彼女たちでも、体格は男子を軽く上回り、力だってとんでもなく強い。

 そんな1年生女子部員たちにお仕置きをされてしまったら・・・・・

 町田は恐怖のあまり生唾を飲み込み、一心不乱に彩華のスパイクを磨きあげるのだった。

 そんなビビった町田を見下ろして、少女たちは、くすくす笑いを強める。

 少女たちに見下ろされながら、町田の奉仕は休憩時間終了まで続いた。


 *


「やだやだやだやだやめてえ、ムッグウウ!!!!」


 昼休み。

 1年生の部室でそれは行われた。


「あんた、スパイクも満足に綺麗にできなかったでしょ。これはそのお仕置き」


 彩華が言った。

 彼女の日本人離れした巨尻の下。そこに町田の顔面はあった。

 顔面騎乗。

 部室の中で、輪になった少女たちの中、町田を座布団にしながら、彩華は弁当を食べていた。

 彩華の艶めかしい尻に、町田の顔面は完全に隠れ、押しつぶされてしまっていた。


「ムウウウウウウッ!!」


 さきほどから、町田は必死に抵抗するのだが、彩華はビクともしない。

 両手を彩華の太股にあてがって、なんとか頭を引っこ抜こうとするのだが、それもかなわない。

 両足をばたつかせて、彩華の体勢を崩そうとするのだが、そんなの問題にならないように、彩華は弁当をパクつくだけだ。

 結果、両足をバタバタと惨めに動かすだけの男がそこにあり、爆笑の声があがるのだった。


「キャハハっ、虫! 虫みたい!」

「必死になって暴れてるのに、ぜんぜんビクともしないなんて、情けないかなー」

「滑稽なダンスね。見せ物にはちょうどいいわ」


 そう言いながら少女たちも弁当を食べていくのだ。

 少女たちの残酷さはここに極まろうとしていた。


(く、くるじいいい!!)


 町田はまったく息ができない。

 彩華の巨尻に押しつぶされ、わずかな呼吸だってできないでいた。

 顔全体を押しつぶす彩華の圧迫感。

 命の危険を感じた彼は、必死に体をバタつかせるのだが、まったくビクともしない。

 それどころか、その滑稽なダンスに女子部員たちが喜びの歓声をあげるだけだ。

 次第に、町田の意識がぼんやりとしていく。


「ほら、息継ぎしなさい」


 突然、光があらわれ、顔の圧迫感もなくなる。

 彩華が腰を浮かして、町田に空気をすわせているのだ。

 町田は狂ったように息を吸っていく。

 せき込むようにして肺に空気を入れようとする町田の姿に爆笑がおこった。


「はい、再開」

「むっぐうううう!!」


 いきなり、彩華の巨尻が町田の顔面を喰らった。

 ぐりぐりと尻を動かし、町田の顔面のベストな座り心地を見つけようとする彩華。

 少しだけしか空気を吸えなかった町田は、とたんに全身をバタつかせて暴れ始める。


「このまま、昼休み中は誰かの座布団になってもらうから」


 彩華が言った。


「ほかのみんなのスパイクも磨けなかったもんね。1年生のほかの女子からも、ちゃんと教育的指導があるから、楽しみにしておきなさい」


 ぐりぐり。

 尻で潰し、楽しそうに言う彩華。

 彩華の言葉に、輪になっている女子部員たちは歓声をあげた。


「昼休みはまだ50分もあるもんねー。いっぱい楽しめそうかな」

「ねえねえ、ぜったい気絶させないでおこうね。窒息ぎりぎりのところで、ずっと苦しめよう」

「あ、それ、得意得意。この前も、生意気な兄貴、3時間くらいもたしたしー」

「男子虐めっていったら、この前、クラスの男子裸にしたときのこと、覚えてる?」

「アハハっ、あれ傑作だったよねー。斉藤とか、ボロボロ泣きながら「許しちてええ」って。ふふっ、あんまり可愛いからさ、そのまま太ももの中で1時間くらい締め続けてたら、あいつ、おしっこもらしちゃってさー」

「あー、そのときの動画あるよ。見る?」


 少女たちの残酷な言葉。

 町田は彩華の尻の下で絶望にかられた。


「ふふっ、よかったわね。みんな、できそこないのマネージャーに、教育してくれるってよ」

「ムッグウウウウ!! むううう!!」

「みんな、ドSだから、楽しみにしておくことね」


 彩華が本当に楽しそうに言った。


「奴隷まで墜としてあげる」


 *


 けっきょく、残りの50分間、町田の顔面は少女たちの座布団にされた。

 ショートカットの可愛い少女も。

 茶髪がかったポニーテールの彼女も。

 優子以外の1年生女子部員全員が、町田の顔面を座布団にしたまま、昼休みを過ごしたのだった。

 最後には、町田の顔は涙と涎でひどいことになっていた。

 そんな状態でも、町田は最後にこう言わされたのだ。


「せ、先輩方。ご指導ありがとうございました!」


 土下座をしながらの言葉。

 それを少女たちは仁王立ちに見下ろして笑っていた。

 上級生の男子に土下座をさせ、屈服させる。

 純粋な力でもって、男を征服する快感に少女たちは病みつきになっていた。


「アハハッ、受けるんですけどー」

「土下座とか情けないかな」

「写メとっちゃおーっと」


 かしゃかしゃと写真撮影が行われる。

 それを町田は土下座しながら甘受するしかなかった。

 屈辱に、涙がまだこぼれ落ちた。


「それじゃあ、わたしたちは練習に戻るから」


 真正面の彩華が言った。

 生ゴミでも見るような冷たい視線が、町田に振りおろされている。


「この部室、練習終わるまでに綺麗にしておきなさいね。できなかったら、わかってるでしょうね」

「・・・・・・・・・・・」

「返事は?」


 ドッスウウウウン!!


 彩華が町田の後頭部を踏みつける。

 そのまま、ぐりぐりと踏みつけを継続する彩華。

 町田が絶叫した。


「わ、わかりました彩華先輩! 部室、綺麗にしておきます!」

「しっかりね。ちょっとでも汚れ残ってたら許さないから」


 それきり、部室を後にする女子部員たち。

 町田は土下座したままだ。


「せ、せんぱい、大丈夫ですか?」


 頭上から声。

 優子が、氷を入れたタオルを町田の横に置いていた。


「これで冷やしてください。そ、それじゃあ、私も練習に戻りますから」


 優子も部室を出ていく。

 町田は声を押し殺して泣きながら、土下座をいつまでも続けるだけだった。


(続く)