「ひゃああ、あ・・・ンンッ!!」


 快感にもだえる男の喘ぎ声が聞こえてくる。

 ぴちゃくちゃと粘着質な音。

 その唾液音は過激なほどで、今行われている行為がどれほど激しいものかを伝えていた。

 娘が男子生徒にディープキスをしている。

 彼女は立ったままだ。

 部屋の中央に立ち、男子生徒のことを抱きしめながらキスをしている。

 娘の格好はさきほどまでの露出の高い、Tシャツにホットパンツという格好。男は当然のように全裸に剥かれて無防備な格好だった。

 娘のほうが身長は高い。

 だから自然と、そのキスは上から降りおろされるような形となっていた。

 男の顔は真上に向き、次々とくりだされる妙技の数々に、だらしなく喘ぐばかりだった。


「ほら、もっと舌だしなさい」


 その声で、私ははじめて娘のほうに注意を向けることができた。

 彼女は冷酷な女王様の表情を浮かべながら、その顔はどこか上気していた。

 興奮しているのだ。

 その立ち上る色気に、私はくらっとしてしまった。


「あ、がっががが!!」

「そう、いいわよ。そのままがんばりなさい」


 ジュルルルルッッ!!

 じゅぱっ、ジュルブブ!!


「あっひゃ、はあああんんん!!」


 再び接吻が再開される。

 激しい、激しいものだった。


「乳首も虐めてあげる」


 言うと、娘は男の胸をまさぐりはじめた。

 長い指が、男の小さな乳首をカリカリと蹂躙する。

 人差し指で優しくひっかいたかと思えば、

 人差し指と親指でキリキリとつまみあげる。

 上から降りおろされるディープキスと、乳首責めの妙技とがあわさって、男は悲鳴にも似たあえぎ声をあげ始めた。


「ひゃあははああ!!」

「ふふ、すごく敏感になってきたわね、ここ。今までさんざん開発されちゃったものね」


 じゅっばああ!!

 ジュツツルルッ!! ジュルル!!

 ジュパジュパ!!


 唾液音がさらに高まる。

 男はすでに白目をむいて、ぐったりしていた。

 自分で立つことができず、がくがくと足をふるわせている。

 そんな情けない男を強制的に抱きしめ、拘束しながら、娘は男の脳味噌をとかすような快楽を与えているのだ。

 その娘の顔。

 冷酷な視線で、男の痴態をあますことなく観察している。

 いつもの調教モードに加えて、娘の表情もまた嗜虐的な快感に酔っているように思えた。

 その美しさ。

 色気。

 私は、ごくっと唾を飲み込んでしまった。

 そのときだった。


「ふふっ」

「!!!???」


 突然、娘の視線がこちらに向いた。

 扉から覗き見している私の視線と、娘の視線があったのだ。

 じゅぱじゅぱと男の唇を啜ったまま、こちらを情事の際の妖しく光る瞳で見つめる娘。

 まるで、私の覗きなんてお見通しだと。

 私のことなんて最初から気づいていたと、そんな瞳で、娘の視線が私と重なったのだ。


「ほら、もっと気持ちよくしてあげる」


 ジュルルルっ!!

 ジュパッ!! ジュブリイリ!!


 視線があったのは一瞬だった。

 すぐに、娘は男を虐めること全神経を向けた。

 視線があったのは偶然だったのだろうか?

 それとも、娘は本当に私の存在に気づいていたのだろうか。

 すべてがあいまいになって、私は助かったのかどうか確信をもてなかった。


「さてと、じゃあ、次は脚で搾り取ってあげるわ」


 キスをやめて、トロケきった男を見下ろしながら娘が言う。

 私は、それ以上見ていられず、その場を去った。

 自分の部屋に逃げるように入って、バタンと勢いよくドアをしめる。

 はあはあという自分の息づかい。

 脳裏には、さきほどまでの女の娘の姿がこべりついている。

 あの優しい娘も「女」なのだ。

 そして、女であるということは、男を虐めることに快楽を見いだす存在にすぎない。

 いや、違う。

 そんなはずはない。

 娘は天真万欄で、誰にでも優しく、自慢の娘だ。

 せ、性欲なんて誰にでもあるものだ。

 優しい、自慢の娘であることに変わりはない。

 私は自分に言いきかせるようにブツブツとつぶやき続けた。

 それに追い打ちをかけるように、さきほどまでとは一線を画する男の悲鳴が家の中を貫いた。

 快感に溺れ、もはや人間の尊厳など微塵も感じさせない獣のようなあえぎ声。

 その致死量の快感を男に与えているのは誰か。

 今まさに、男を性的に虐めているのは誰なのか。

 私はそれ以上考えるのをやめ、ベットに入った。

 男の悲鳴は朝まで続いた。

 当然、私は眠ることができなかった。


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