5年6組の教室には、体操服姿の生徒の姿があった。
4時間目の授業が体育だったこともあり、ほとんどの生徒が学校指定の体操服姿のままで授業を受けている。
季節は夏真っ盛りで、クーラーのない教室はうだるような暑さだった。
生徒達は、半そで半ズボンの軽装に身を包みながらも、あまりの暑さにぐったりとしている様子である。
男子15名、女子17名で構成されている6組。
発育のいい女子生徒で構成されているクラスゆえに、6組の男子達は気もそぞろになりながら、5時間目の数学の授業を受けている。
隣に座る女子生徒の胸をチラ見する者。
前の席に座る女子の、ブラジャーが透けている光景を凝視している輩。
性に目覚めはじめた男子にとって、その教室の光景はたまらないものがあった。
そして、そんな発育のいい女子達の中にあっても、一人別次元のレベルに位置する一人の女子生徒の姿がある。
その女子生徒は、一見すると5年生には見えないくらいに背が高かった。
周りの生徒に比べると、大人と子供の違いである。
さらに、身長だけではなく、豊満に育った胸やふともも。
その女性としての魅力が、生地の薄い体操服を突き破らんと隆起していた。
そんな大人っぽさとは対照的に、その顔立ちはまだ幼さの残ったあどけない表情をしている。
見る者を吸い込んでしまいそうな大きな瞳は、天真爛漫といった印象を見る者に抱かせること請け合いだった。
その女性は、この学校の名物生徒―――橋本小百合である。
近隣のスイミングスクールに通い、全国大会に出場するほどの実力の持ち主でありながら、勉強もできるというすばらしい生徒。
ほとんどの者が、小百合のことを優等生として認識していた。
男子だけでなく、女子からも人気のある人望のある生徒。
問題などおこすはずのない、優等生。
それが、この学校に通うほとんどの者がもっている、小百合に対する認識である。
しかし―――
しかし、そんな評価とは正反対の評価を下す者たちがいることも確かだった。
小百合を前にすると、ビクビクと怯え始める男子生徒。
なぜか小百合の命令どおりに動く忠実な男性教師。
彼らが、小百合に対してもっている印象は一つだった。
怪物である。
おそろしいまでの怪力をもった存在。
彼らは、小百合に玩具にされたことのある、哀れな犠牲者だった。
その数は段々と増加しつつあり、今では、学校に教師もあわせて、15名もの小百合専用の奴隷がいるほどである。
休み時間のたびに、人気のない体育倉庫で繰り返された乱行の数々。
その発育しきった体にとらわれ、犯されるようにして虐められた男たち。
一度でも小百合に目を付けられた男は、すべてその後、小百合の奴隷として忠誠を誓うことになっていた。
男のプライドなんて一瞬で奪い去られる。
張り手をくらわされ、チョークスリーパーで宙吊りにされながら首を絞められ、ベアハックで潰される。
小百合にとっては戯れでしかない行為によって、男たちの精神は瓦解し、犬のような奴隷へとかわっていくのである。
そして、その奴隷の数は、ここ最近で目に見えるほどで増えていた。
欲求不満でもあるのか、小百合が、ここのところ頻繁に、新たな獲物(男)を玩具にしているのだ。
その頻度は相当なもので、今まではひた隠しにしていたその趣味に、とうとうクラスの女子の一部にばれてしまったくらいだった。
それから、その男子イジメには、小百合だけでなく何人かの女子生徒が加わることになった。
それがさらに男子イジメの回数を増えすことになり、増やせば増やすほど女子も増え、今ではクラスの女子のほとんどが男子イジメに加わる結果になっていた。
悲惨なのは、少ない数で、そのアマゾネスたちの相手をしなくてはならない男子たちである。
しかし、さらなる異変が、今、起ころうとしていた。
女子が男子を虐めるという有り得ない事態よりもなお、衝撃的な変化が、今、昼下がりの教室で起ころうとしているのだった。
そうとは知らずに、6組担当の男性教師は、板書をすすめる。
彼は、背が低いが、貧弱とはいえないスポーツマンのような体つきをしていた。
大学時代はアメフト部に所属し、ラインバックとして活躍したその男性教師。
これから何が起こるか予感さえしていない彼に、その後の人生をかえてしまう悲劇がおころうとしていることなど、知る由もなかった。
●●●
板書を終えた男子教師―――風間修一は、生徒達へ振り返ると、グルっと教室を見渡した
前の時間が体育だったため、生徒達のほとんどが体操服姿である。
しかも、風間が担当している6組は発育のよい女子生徒が多く、薄い布地に身を包んだ彼女達を見つめると、一回りも歳の離れた風間でさえ、劣情をもよおすのを我慢できなかった
(俺はロリコンではないのだが……)
少女の体に欲情するなど、教職員にあってはならないことである。
近頃は不貞の輩も大勢いるようだが、自分は健全な男子として、毅然とした態度を示さなければならない……そう、風間は考えていた。
「さて。ではこの問題がとける者、いるか?」
板書した数式を指して、風間が言う。
しかし、誰も手をあげない。
いつものことなのでさして気にするそぶりもみせずに、風間は教室を見渡して、数式を答えさせる生徒をさがす。
と、そんな矢先、教室の一番後ろに座る女子生徒の姿に気がついた。
体の大きな女子生徒たちの中で、ひときわ異彩をはなつ女子生徒。
彼女の座り方に眉をひそめた風間は、ゆっくりと口を開いた。
「おい、橋本」
「え? なんですか、せんせい」
「今は授業中だぞ。脚を組むのはやめなさい」
毅然とした態度で風間が言う。
そう言われた少女―――橋本小百合は、キョトンとした表情を浮かべるだけだった。
自分の何が悪いのか分からないといったような視線で、風間のことを見つめ返すだけである。
「脚を組むなって……せんせい、小百合、今になって初めて、こんな座り方したわけじゃないですよ?」
「……いいから、先生の言うとおりにしろ。とにかく今は、そういう座り方をするな」
チラっと小百合の脚を見つめてから、風間が言う。
一瞬見ただけでも、脳裏に刻み込まれるような見事な生脚がそこにはあった。
180センチをゆうにこえる身長。
その大きな体に備え付けられた2本の生脚。
その見事な脚が、半ズボンの体操服によって、さらに魅力を引き立たせていた。
艶かしい、妖艶な形状。
むっちりとしていながら、引き締まっている太もも。
ムキムキの筋肉というわけではなく、女性らしい柔らかそうな筋肉のスジ。
それらが、学校指定の体操服ゆえに、惜しげもない外気にさらされているのだ。
それを見て、下半身が反応しない男がいるわけがなかった。
(うう、少女の体なんかに、興奮するなんて)
毅然とした態度をとりながらも、風間の内心は欲情でいっぱいだった。
このまま彼女が脚を組み続けていたら、いつなんどき、下半身の物が反応してしまうかわからない。
そんな理由で、風間は小百合に対して注意を促したのだった。
「ほら、橋本。はやくしなさい」
「え〜。だって、せんせい。小百合の体大きいから、普通に正面向いて座ったら窮屈なんだもん」
「それは我慢しなさい」
「え〜」
不満たらたらといった小百合の様子。
しかし、風間は教師の威厳をもって、さらなる注意をうながそうとした。
そのとき、
「まったく……せんせいは体小さいから、小百合の気持ちなんて分からないんだよ」
「な、なんだって?」
自分のコンプレックスである低い身長を指摘され、風間は我を忘れて問い返していた。
「だからー、せんせいは体小さいでしょ? 160センチくらいしかないもん。そんなせんせいに、小百合の気持ちなんて分からないって言ったの」
「は、橋本!!」
怒り狂った風間は、教壇から降りるとズンズンと小百合の席へと進んだ。
顔を真っ赤にして、鼻息をあらくした男子教師の姿。
彼はそのまま、小百合の席まで来ると、
いきなり、その頬を平手打ちした。
ベシン!!
教室に打撃音が響いた。
誰もが、風間が小百合の頬をぶったのだと、そう思った。
しかし、違った。
その打撃音は、小百合が風間の平手を、軽々と受け止めた音だった。
「な!?」
小百合に腕を掴まれながら、風間が驚きの声をあげる。
これでも自分は、高校大学と、アメフトの選手として活躍した体育会系だ。
それが、いくら体が大きいといっても、初等部の……しかも女子に軽々と平手を受け止められてしまうなんて……
しかも、小百合の力は、相当なものがある。
自分の腕を掴んでいる小百合の拘束はビクともせず、完全に動きをとめられてしまっていた。
(な、なんだこの力は!)
冷や汗がながれる。
風間は、なにか取り返しのつかないことをしてしまったような、嫌な予感を感じていた。
「あ〜あ、せんせいが、そんなに簡単に生徒に手をあげていいのかな〜」
「く。は、離せ! 橋本!」
「ふ〜。さすがに担任のせんせいを虐めるのはまずいかなー、なんて思ってたけど。こんなことされるなら、別にいいかな」
「な、何をいってるんだ橋本! 先生の言うことが聞こえないのか!」
「えい」
ベッギイイイイン!!
「うっぎゃあああッ!!」
唐突、小百合が、いきなり風間の腹を殴った。
片手を拘束したままで、がら空きになっている風間の腹筋へと、小百合の右ストレートがおそった。
直撃を受けた風間は、体を『く』の字にまげて、地面に転がりこみそうになる。
しかし、それを小百合は許さなかった。
さきほどから拘束している風間の片手を持って、小百合はゆっくりと立ち上がった。
地面に倒れそうになっている風間を強引に立たせながら、小百合が仁王立ちする。
あっという間に、小百合と風間の視線が逆になる。
はるか高みから見下ろす小百合と、それを怯えきった犬の視線で見あげる男子教師。
その構図は、はやくも2人の関係を暗示しているかのようだった。
「せんせい」
「ぐぐううッッ。は、橋本。わ、悪ふざけはやめなさい」
「えへへへ、これから、せんせいには、身の程ってやつをじっくり教えてあげるからね」
自分のことを見下ろしながらの言葉。
いつもの無邪気そのものといった小百合の様子に、風間は逆に恐怖を感じた。
目の前にある小百合の体。
その迫力満点の豊満な体が嫌でも目に飛び込んでくる。
ちょうど目線上には小百合の体操服を張り裂かせんとする巨乳があって、思わずそれを凝視してしまう風間であった。
(しかし、なんなんだこの力は……!! さっきの一撃だって、鍛えているはずの腹筋がまるで役立たずのようで……)
ぞおお、と背筋が凍る。
嫌な予感が確信にかわっていく。
このままではマズい。
風間はなんとか、小百合の拘束から逃れようとするのだが、
「く、くそッ!!」
握り締められている右腕を、なんとか引き離そうとする。
全身全霊の力をこめて、小百合に握られている腕を暴れさせる。
しかし、やはりビクともしなかった。
頭上から、失笑が聞こえた。
「くす。せんせい、なに顔真っ赤にしてやってるの? 小百合、ぜんぜん力いれてないんだから、これくらいは自力で脱出しなくちゃダメだよ」
「は、橋本!」
「それとも、せんせいの全力の力って、こんなに弱いの? いつも大学のアメフト部の自慢とかしてるけど、ぜんぜん大したことないんだね」
「っく……!!」
教え子に罵倒される屈辱。
しかし、それよりも、女子に純粋に力で勝てないということのほうが屈辱的だった。
視線をあげれば、そこには、まるでペットの面白い行動でも見つめるような小百合の瞳がある。
片手一本で拘束される。
しかも、20歳以上歳が離れた、こんな年端もいかない女の子によって……。
今までの人生が否定されるような、そんな気持ちに風間は苛まれた。
「はい、じゃあ次は小百合の番だね」
「く、くそ!」
「じゃあ、いっくよ〜」
言うと、小百合が左腕までも掴んできた。
片手一本で、風間の右腕と左腕が束ねられてしまう。
その大きな手の平……。
自分とは比べ物にならないほどの大きな手で、風間の右腕と左腕が握られ、そして引っ張りあげられてしまった。
「ああああ……」
強制的にバンザイをさせられる。
風間がつま先足立ちしなくてはいけないほどに、腕を引っ張りあげられていた。
小百合は、成人男性の体を、片手一本で、ゆうゆうと持ち上げてしまったのだ。
しかも、それで終わりというわけではなく、
「えい!!」
ドッスウウウウン!!
「ヒッギャアア!!」
がら空きになった腹筋に、再度小百合の拳が直撃した。
肉が砕けるような音が教室中に響いた。
風間の脚から力がなくなる。
ボディに二撃目をくらい、はやくも脚にきたのだ。
ガクガクと痙攣するように奇怪なダンスを踊りはじめる風間。
しかし。小百合はそれだけで許すつもりはない。
「えへへへ、せんせい、アメフト部なら、とうぜん腹筋とか鍛えてるもんね〜。これくらいじゃ、ぜんぜん痛くも痒くもないでしょ?」
「カハア! ひ、ひいいい」
「うん。大丈夫そうだね。じゃあ、どんどん行くよ〜」
「や、やめて、ッギャアア!!」
ドスウウン!!
バッギイイ!!
ドッグウウウ!!
「えへへ。人間サンドバック〜」
次々に、風間の腹に小百合の拳が直撃していく。
それは連続で放たれており、直撃するたびに風間の体は『く』の字に曲がった。
小百合の一撃から逃れようと、風間の体が無意識のうちに後退する。
尻だけが後ろへと逃れ、その姿は情けないものだった。
両腕を上にあげられ、片手一本で拘束されているので、風間が逃げようにも逃れようがない。
結果、風間は無限地獄に陥ることになった。
「っひっぎゃああ!!」
「やめ、ッギイイイイ!!」
「ゆるしぎゃあああああ!!」
「死、死んひいいいい!!」
ドッスウウン!!
バッギイイン!!
バギイインン!!
ドスウウンン!!
殴られ続けていく。
教え子に少女に、手も脚もでずに殴られ続けていく。
腰のきいた重いパンチ。
それが炸裂するたびに、風間は叫び声をあげながら、意識が飛びそうになるのを必死にがまんしていた。
(なんなんだこれは……なんでこんなに強いんだ)
風間の精神は、早くも屈服しかかっていた。
どうやら小百合は、まだ本気をだしていない……それが風間にもわかっていたからだ。
自分のことを殴りながら、小百合は楽しそうに笑っていた。
それは、いつもの無邪気な笑顔だった。
こんなとてつもない一撃も、小百合にとってはまだまだ手加減をしたもの……遊びですらないのだろう。
本気をだされたらどうなるのか……。
風間は、戦慄を隠せない様子だった。
「よいしょ!」
ドッスンン!!
それまでとは一線を画する一撃。
アッパー気味に放たれた一撃は、風間の体を一瞬宙に浮かび上がらせていた。
風間の体が宙に浮く。
パンチ一つで……小百合は成人男性を浮き上がらせてしまったのだ。
「ブッゲエエエエ!!」
風間は、昼に食べたものを吐き出さないように、必死に我慢した。
まるで、自分の腹がなくなってしまったかのような激痛だった。
それきり、小百合の拷問は止んでいたため、風間はなんとか胃の中身を逆流させないことに成功する。
しかし、まだ拘束はとかれていない。
今だに、自分の両腕は、小百合に片手一本で持ち上げられているままである。
(うううううう)
声にならない言葉を漏らしながら、風間は少しだけ視線をあげた。
そこには、小百合の脚がある。
むっちりと熟れきった、大人の太ももがある。
大迫力で迫る小百合の生脚が、半ズボンから惜しげもなく伸びているその光景。
風間は、こんな状況なのに、その脚に欲情している自分に気がついていた。
(でも、きっとこの脚だって、とんでもない力をもって……)
腕の力だけで、自分は小百合に圧倒されているのだ。
この脚が使われたら、いったい自分はどうなってしまうのか……。
そう考えると、欲情の対象だった生脚は、恐怖の対象へとかわっていた。
「さてと。腹筋はこれくらいで勘弁してあげようかな」
頭上からの声。
風間が仰ぎ見るように頭上を見上げると、そこには嬉しそうに笑う小百合の姿がある。
それに対して、もう自分はボロ雑巾のような有様だ。
叫び声をあげるたびに飛び散った唾と鼻水が顔中を汚している。
体にももう力は入らず、小百合に支えられて立っているようなものだった。
年端もいかない少女に、まったく歯がたたなかった。
その屈辱が、風間をさらに惨めなものに変えていた。
「えへへ、せんせいの力、ほんとに弱いよね〜」
「う、うううう」
「これで分かったかな? せんせいより、小百合のほうが力強いんだから。あまり生意気なこと言ってると、もっと虐めちゃうぞ」
「ひ、ひいいいい」
「あは。せんせいったら、本気で怯えてる〜」
胸をはり、堂々とした様子で、小百合が言う。
犬のように怯えきった風間は、さらに低姿勢になって慈悲を乞うだけである。
それゆえ、二人の身長差はさらに増すばかりだった。
負け犬となった男子教師を、ニコニコと笑いながら見下ろす小百合。
風間とは比べ物にならない見事な肉体美を見せ付けながら、小百合はビクビクと怯えている風間に対していった。
「さてと。じゃあ、仕上げというこうかな」
言うなり、小百合は風間の手を引っ張って、教壇のほうへと脚を進めた。
強引な力で、風間のことをひきずるようにして引っ張っていく。
そして、教壇の上に立ち、小百合は教室中を見渡してから、言った。
「は〜い。じゃあこれから、風間先生の公開処刑をはじめたいと思いま〜す」
言うなり、小百合は風間の体を後ろから抱きしめた。
小百合のたくましい二の腕が、風間の体に巻きつき、小百合の巨乳が風間の背中でグニャリと潰れる。
風間の鼻腔をつくのは小百合の甘い芳香だ。
その大きな体に埋もれるようにして、風間は後ろから、小百合に抱きしめられていた。
「それじゃあ、まずベアハッグからいくよ〜」
「な、もう許してくれるんじゃ……!」
「え〜、小百合がいつそんなこと言ったの、先生」
「そ、そんな」
風間の目の前が真っ暗になる。
教え子にボコボコにされるという屈辱よりも、はやく小百合に許してもらいたいという情けない思いが、率直な今の思いだった。
「ゆ、ゆるして……もう、やめてえ!」
「だ〜め。えへへ、今から先生は、見せしめになるんだよ」
「み、見せしめ?」
「そう。ほら、クラスのみんな、ちゃんと見てる?」
その言葉に、風間ははっとして、視線をあげた。
そこには、自分の教え子たちの姿があった。
男子は同じく怯えきった様子で、小百合のことを凝視している。
それに対して、女子たちは、くすくすと忍び笑いをしていた。
自分の情けない姿を見て……
教え子に手も脚もでない自分の姿を見て、クラスの女子達が笑っているのだ。
「あああああ」
絶望感でいっぱいになる。
しかし、そんな風間の思いも知らず、小百合はさらなる責めを加えた。
「じゃあいくよ、せんせい」
「や、やめてッギャアアアア!!」
小百合の腕に力がこもった。
風間の胴体が、それだけで軋みはじめた。
ギシギシと、骨が砕け始める音が聞こえる。
前後左右を肉で囲まれているような感触。
小百合のたくましい二本の腕が、風間の体にまきついている。
さらには、背中に密着している大きな胸。
小百合の大きな胸は、普段であるならば、極上のクッションとなることだろう。
しかし、グニャリと変形して、蠱惑的な形状になった胸は、今となっては風間を潰すための突起にほかならない。
潰れていく。
後ろから教え子に抱きしめられながら、
軽々と自分の体は潰されてしまっていて……
「ヒッギャアアアア!!」
「えへへへ。いい悲鳴〜。もっと力こめてあげるね」
「や、やみゃッギャアアア!!」
「ほらほら〜。もっともっと〜」
ミシミシミシッ!!
バギイイイ!! ベギ!!
バギバギ! ミシベギッッ!!
ベギイッ!! バギバギバギッッ!!
「ギっぎゃああああ!!」
小百合が力をこめるたび、風間の足が地面につかなくなる。
風間の体は小百合の腰に乗り、抱きしめられながら持ち上げられているのだ。
身長差がなければできない芸当。
今では風間の体は、小百合の体に密着させられながら、宙に浮かんでるも同然だった。
「ほら、せんせい? がんばって脱出してみたら? このままじゃ潰れちゃうよ」
「ひ、ヒイイイ!! ギャアアア!!」
「あはは、足バタバタさせてるだけじゃダメだよ〜。ほんと、せんせいって力弱いよね〜」
「やみゃ、もう許してッギャア!!」
「ほら、そんな情けない、せんせいのこと、クラスの皆が見てくれてるよ」
「え?」
風間は潰されながら、チラっと前を見てみた。
そこには、教え子たちがいる。
その生徒達が、自分の痴態を凝視していた。
そして、口々に自分のことを噂している……。
「やだ。先生って全然大したことないじゃん」
「小百合ちゃんにボコボコにされちゃって……情けないです」
「これなら、私達でも先生に勝てちゃうんじゃない?」
「アハハ! 言えてる。運動してたっていっても、身長が160そこらしかないんじゃねー」
クラスの女子達が、失笑をこぼしながら自分のことを見つめている。
活発な女子生徒。
大人しい女子生徒。
そのすべてが、笑いながら、自分のことを噂している。
「先生……」
そんな女子と対照的なのが男子だ。
まるでこの世の終わりとでもいうべき表情。
何がおこってるのかわからない、そんな表情で、自分のことを見つめていた。
「あああああ」
風間は、絶望で胸が張り裂けんばかりだった。
目の前が真っ暗になる。
教師としての威厳がなくなって、そこには一匹の哀れな雄犬がいるだけだった。
その雄犬を後ろから抱きしめ、潰している小百合。
彼女はいつもどおり、天真爛漫といった感じに、男子教師を虐め続ける。
ニコニコと笑顔で……
成人男性を圧倒し続けていた。
「は〜い、じゃあ次はアルゼンチンバックブリーカーで〜す」
それから、小百合は次々に風間を虐め続けていった。
風間を肩の上に乗せ、背骨をギシギシと軋ませる。
太ももで風間の体を挟み込み、ひたすら絞め続ける。
アイアンクローで頭蓋骨を陥没させようとさせ、
その大きな胸に風間の顔面を擦りつけ、圧迫、窒息の地獄を体験させる。
それは、小百合が満足するまで続いた。
それに、風間はひたすら耐えるしかなかった。
いや、もう耐えるという言葉はふさわしくない。
すでに、風間の精神は屈服しているのだから……
●●●
「せんせい、もっと丁寧に舐めてよ〜」
「は、はい、小百合様」
小百合の猛烈な虐めが終わった教室。
まだクラスの全員が残っている中で、小百合は教卓の上に座りながら脚を組んでいる。
そして、地べたに座り込み、小百合の脚に舌を這わせているのは、風間だった。
ぺろぺろと、犬のように一心不乱に、小百合の脚の指に舌を這わせていく。
そこには、すでに屈辱を感じているような様子はなかった。
許してもらえるならば、どんなことでもする。
風間は、この短時間の間で、すっかり小百合の奴隷と化してしまったのであった。
「はい。次は親指フェラ」
「は、はい」
命じられた風間が、小百合の親指をくわえ込んだ。
風間の口内に、小百合の脚の親指が、すっぽりと納まる。
そのうえで、風間は、
「ンン……ジュバジュボッ!! ジュウウ!!」
顔を上下に動かし、小百合のいう親指フェラがはじまった。
小百合の大きな親指。
それを男性器にみたてての擬似フェラ。
ツバがはじける音が教室に響く。
それを小百合は、ニコニコと笑いながら、見つめていた。
「ほら、ちゃんと舌を使わなきゃダメだよ〜」
「ふぁ、ふぁい…ンン、ジュッバア!! ジュルウウ!」
「えへへ。だいぶうまくなったね、せんせい」
「ふぁりがふぉう、ございまふ」
じゅるううううう!!
ジュバっ! じゅぼじゅば!!
ジュボジュボ!! じゅるるるッ!!
もはやそこに人間としての尊厳はなかった。
自分の教え子に……女子生徒に、ボコボコにされ、さらにはその脚の指を舐めるという低落。
しかも、今の風間は、それをどこか嬉しそうに行っているのだった。
暴力は精神を壊し、それまでの価値観すら壊してしまったのだろう。
風間は、一心不乱に親指フェラを続ける。
脳震盪をおこすのではないかと思われるほどに、激しく、小百合の親指にフェラチオをする。
一人の人間が、奴隷になった姿だった。
「さてと。男子のみんな、これで分かったよね?」
奴隷に脚を舐めさせながら、小百合が視線をあげて言った。
それは、クラスにいる男子に向けてはなった言葉だった。
とたん、男子生徒たちはビクっと怯えた表情を見せる。
小百合は、やはりニコニコと笑いながら、その言葉を口にした。
「このクラスでは、男子より女子のほうが強いんだよ。だから、これからは男子は、女子に絶対服従だからね」
ぐるっとクラス中を見渡し、
「逆らったら、さっきのせんせいにやったより、もっとすごいことしてあげるから。えへへ、絶対服従をきちんと守りましょう!」
言葉をきり、小百合は男子の様子を観察する。
何を言ってるのか分からない……そんな表情をしている男子にまじって、反抗した目つきの男子がいる。
それを見ると、小百合は「えへへ」と笑ってから、
「それじゃあ、次の6時間目の授業は、男子対女子で勝負しようよっ」
「しょ、勝負だと?」
「そう。女子と男子、どっちが強いのか、このさいはっきりさせとこう! じゃあ、さっそくやろうか」
小百合が風間を蹴飛ばしてから、ゆっくりと教卓から降り、立ち上がる。
そして、
「みんなも、準備はいいよね?」
小百合の呼びかけに答えるように、女子たちが全員立ち上がった。
その目には、嗜虐的な感情が見え隠れしている。
小百合の調教を見ていて、女子たちは興奮した様子を隠せないようだった。
「さてと、じゃあ、はじめ!!」
そこから始まったのは、言うまでもなく地獄だった。
もちろん、男子にとっての地獄である。
誰一人の例外なく、男子生徒は女子の餌食になっていった。
「ほらほら、ちょっとは抵抗してみなさいよ!!」
「鈴木くん、弱すぎです。このままじゃ、死んでしまいますよ?」
「アハハ! あんたら男子がいつもチラ見してた太ももの威力はどうかしら? このまま堕としてあげるから」
「田中くん、いっつも私の胸見てたよね。遠慮しなくていいんだよ、もっともっと押し付けてあげるから」
昨日まで対等だと思っていた女子に完膚なきまでにボコボコにされる。
顔面騎乗で潰され、
ベアバックで失神させられる。
その地獄絵図は、6時間目の授業が終わるまで続いた。
そして、5年6組の運命は決まったのだ。
女子の命令には絶対服従の毎日。
その日から、クラスの男子たちに心休まる日はなかった。
こうして、彼らの日常はいっきに崩壊したのだった。
(終わり)
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