原作・イラスト ネムレスさん
夏休み。
学生達はヒマを謳歌し、仮初めのモラトリアムを堪能する。
そんな中、大学生の男が、近くの図書室でヒマを潰していた。
図書館ではないところの、図書室。
憩いの場である公民館に常備されている、学校の教室大の小さな図書室だ。
本の数は少なく、下手をしたら熱心な読書家の保有している本よりも劣っているのではないかという蔵書数。
学習机が常備されているが、それも無造作に長テーブルが6つほどおかれているだけである。
机と机、本棚と本棚の間隔も狭く、どこか穴蔵を連想させる。
そんな大学生の男のいる図書室は、今、明らかに閑古鳥がなっていた。
男以外には、一人だけ初等部くらいの少女がいるだけで、あとは人の気配というものがない。
しかし、これはいつものことだ。
公民館の隣には、市立図書館が隣接している。
だから、このような古くさい図書室を利用するものはマレで、公民館の二階にあるこの図書室には、日頃から人がいないのが常だった。
ましてや、今日は平日・・・・・このような場所にたむろしている者がいるはずがなかった。
(あ〜・・・・もう面倒くせえな)
その閑古鳥の鳴いている図書室において、大学生の男は頬杖をつきながら気怠げそうに本を読んでいた。
夏休み。
どうしても提出しなければならないレポートの題材に、何か資料がないかとここに来たのが間違いだったと、その男は後悔しながらに思う。
普段は大学の授業にすらでない男なので、自分のテーマを調べるのに、どのような資料を読めばいいのかも分からない。
しかも、この図書室の蔵書数はあまりにも少ないので、男のレポートにあうような本は皆無に等しく、さきほどから男の作業はまったく進んでいなかった。
(ったく、もうやめだヤメ……家帰って寝よう)
いらついた様子を見せながら、男は舌打ちとともに立ち上がる。
机にこれ見よがしに山積みにしておいた本を乱暴に手にし、適当な本棚に返却していく。
その本があった場所など探そうともせずに、適当に空いているスペースへ、自分の持っている本を差し込む。
明らかにマナー違反のその行為は、男の性格を如実に物語ることになった。
本来ならば、その行為は図書室の司書によって是正されなければならないものだろう。
しかし、公民館に設備されているだけの図書室にそのような存在がいるはずがない。
図書室の中にいるのは、年端もいかない初等部の少女。
対して、人の迷惑をまったく顧みない男は体格の大きな大学生。
本来ならば、この状況で男のことを注意する者などいないはずである。
初等部の少女が、大学生の男に対して注意を喚起することなどできるはずがない。
―――しかし、その普遍的な常識も、彼女にはまったく通用することはなかった。
「ちゃんと、本は元の場所にかえしてくれませんか?」
「―――あ?」
男は声のした方向へと振り向く。
自分の足元―――そこに、初等部の女の子が佇んでいた。
キリっとした目付きをもって、自分のことを睨みつけている年端もいかない少女―――長く黒い髪が印象的で、なかなかに可愛らしい顔つきをしている。
しかし可愛いとはいっても、そこはやはり初等部の少女だった。
男は、将来的には美人になるだろうな、と間のぬけた感想を得ると、その少女の言葉を無視するかたちで、最後の本を返却し終わる。
そして、何事もなかったように、図書室から去ろうと踵を返して―――
「待ちなさいと言ってるでしょっ!!」
烈火のごとき怒号。
それとともに我慢の限界を向かえた少女―――水鏡まりあは、男のヒザに向かってローキックを繰り出した。
細い初等部特有の脚が、唸るようにして空気を裂く。
刹那―――圧倒的な破壊力をともして、まりあの蹴りが男に激突した。
ボグウウっ!!
「ぐぎゃああああ・・・・!!」
突如として顕現した痛みに、男はヒザを折って地面に倒れこむ。
まるで脚が吹き飛んでしまったかのような、とんでもない衝撃。
痛みを受けた左脚は、まったく力がはいらなくて、男は地面にはいずることしかできなかった。
そんな男に、まりあはゆっくりと近づくと、
「……貴方が、この図書室の本を配列をぐちゃぐちゃにしちゃったんですね?」
地面に倒れこんだ男の髪の毛を掴むと、まりあは力任せに男の顔を持ち上げ、そして痛みに悶える男に対して言った。
そのまりあの顔には、明らかな激怒が浮かんでおり、その表情からは普段の優しげなまりあの姿を想像することすらできないであろう。
まるで親の敵でも見つけたかのような憤怒ぶりで、まりあは男の顔を覗く。
その年端もいかない少女の顔をみた男は、混乱した頭の中で、
(誰だ、こいつは?)
当然のように、目の前の女の子が誰か分からず疑問符を浮かべていた。
男からしてみれば、目の前の女の顔は初めて見るものである。
初等部だと一見して見れ取れる幼い風貌。こんな女子初等部と自分は知り合いのはずがない。
というか、さっきの痛みは、目の前のこいつが何かしたのだろうか……
「……謝ってください」
男はなにがなんだか分からずに黙っていると、まりあが地獄の底から響くような声色でそういった。
それに対して男は、「は?」と間のぬけた返答しかできない。
その反省の色の見えない男に、今度こそ堪忍袋の緒が切れた、まりあは、さきほどとは打ってかわった大きな声で、
「夏休み、図書室の本が元あった場所に返却されないで、困ってるんです!! 貴方がやったんでしょ!?」
「な、何言ってるんだ、お前」
「しらばっくれても無駄です。さっき貴方、さも当然のように、まったく見当違いのところに本を返却してましたよね? 私見ましたから……」
「い、いやそれは……」
「謝りなさい!!」
「だから、それは俺じゃな、ぐぎゃあああああああッッ!!」
激怒して我を忘れているのか、まりあは次の瞬間、男の体を蹴り上げていた。
蹴る。
蹴る。
男の体をまるでサッカーボールにみたてて、とにかく蹴りまくる。
いくらいっても謝罪せず、反省の色すら見せない男の様子を見て、まりあはかつてないほどに激怒していた。
言ってわからないのなら、その体に覚えこませる。
まりはは、その持ち前の怪力を発揮し、男の体を蹴り上げていく。
大学生の男が、初等部の可愛らしい女の子に足蹴にされる光景。
男は、頭をかかえながら、「ヒイヒイ」と情けない声を漏らしながら、ただ嵐が過ぎるのを待つしかなかった。
怯えきった様子を見せる男。
それを見た、まりあは、蹴り上げるのをやめて・・・・
「分かりましたか? 今すぐに謝りなさい。そして、ちゃんと元の場所に本を戻しなさい・・・・まったく、これくらい、誰だってわかることでしょ?」
「ヒ・・・ひ・・俺が・・なにしたっていうんだ・・・俺が・・・」
「・・・・・・・」
「な、舐めるなよガキがああああ」
我を忘れた男は、倒れこんでいた状態から一瞬にして立ち上がると、まりあに向かって体当たりをかました。
その小枝のような体躯。
小さな体にむかって、全力の体当たりをかます。
舐められたままでいいわけがないと、男は激怒の中で思った。
一見しただけで初等部だと分かる少女に、足蹴にされ、半べそまでかかせられて、黙っていられるわけがない。
この世の厳しさというものを、このガキに教え込まなくてはならない。
体当たりをして・・・・そこから床に押し倒し、馬乗りになってどこまでも殴ってやる。
やめてくださいと嘆願しようが、泣き出そうが、構うものか・・・・
こんなガキに舐められて、舐められて・・・・舐められて・・・・・ふざけるなよッ!!
「おらあああああッッ!!」
キレてしまった男が、まりあの体にぶつかる。
まりあの両肩を掴み、そのまま力任せに押し倒そうとする。
こんなにも小柄な体だ。力なんてまったく使わずに、少女のことを押し倒そうと・・・・
「――――!?」
無駄だった。
男の力は、まりあにはまったく効かなかった。
男は、全力でまりあの体を押している。大の大人が、初等部の少女に対して本気で襲いかかっている。
それなのに、まりあの体はビクともしなかった。
まるでどっしりと構えた山のような感触。
1mmたりとも動かないその体を見て、男は目の前の現象が理解できないというように混乱した。
(な、なんだこれ・・・・・まったくビクとも・・・・)
「・・・・よく分かりました。まだ足りないんですね。これくらいじゃ貴方は分かってくれないんですね」
怨嗟のような声がまりあの口から漏れる。
それに、男は「ヒイ」と悲鳴を漏らして後ろへ後退しようとした。
まりあから逃れようと、後ろへ―――
「どこへ行くんですか?」
「ひ、ひいいい!」
その男の腕を、まりあはがっしりと掴んだ。
そして、拘束する。
これから行う調教を滞りなくすませるために、まりあは男の体から自由を奪った。
「逃がしませんよ。貴方には、これからたっぷりと”教育”してあげます。その体に、悪いことをしたらどうなるのか、しっかりと教え込んであげます」
「な、何を・・・・・」
「問答無用です」
「びぎゃああああああ!!」
目にもとまらぬ速さで、まりあは男の背後へとまわる。
そして、男の首に自分の腕をまきつけた。
背後から、情け容赦なく、男の首を絞めつける。
スリーパーホールド。
まりあの右腕が、ギリギリと男の喉仏に突き刺さっていた。
「これからたっぷりと地獄を見せてあげます。覚悟してくださいね」
「ぐギャぎぎぎぎ・・・・ヒュー・・・」
「楽には堕としませんよ。反省するまでずーと・・・・・いつまでも絞めあげてあげます」
まりあは、男の首を絞めながら、その耳元で囁くように言葉を口にした。
絶望に染まった男の顔を後ろから覗きこみ、その痴態を見つめる。
ガクガクと無駄なあがきをする大人の男。
苦痛にゆがみ、リンゴのように真っ赤になったその顔。
犬のように舌をだしている男を、まりあは無表情にみつめていた。
「ぐギギギ・・・・うびゃギャギャッ・・・!」
「そんなに暴れても無駄です。私、ぜんぜん力いれてないんですから・・・・・初等部の女の子に手も足もでなくて、恥ずかしくないんですか、貴方」
「みゃぎゃアアッッ! ひぎいいイイギャ・・・・・!!」
涙と鼻水が流れ、情けない様子を初等部の女子に見つめられる。
首には、か細く華奢な腕がまきつき、自分の首を絞め上げ続けている。
初等部の女の子に、後ろから羽交い締めにされ、スリーパーホールドをかけられる屈辱。
ヒューヒューという息の漏れる音が、クーラーの音だけが響く図書館を支配する。
膝をつき、なんとか首にまきついた腕をほどこうとするのだが、どうにもならない。
真綿がからみつき、じっくりと時間をかけて絞め上げられているような感触。
どうしようもない絶望が、男の中にまきおこった。
「もうちょっと、お仕置きしますか」
「ふぎゃあああああああああッッ!!」
言うとまりあは、ゆさゆさと男の体を揺さぶり始めた。
男の首を絞め上げるのはそのままに、激しい動きをもって、男の体をゆらす。
ガクガクと、男の首が上下に動く。
男が女を犯すような激しさで、まりあは男に調教をほどこしていく。
そのたびごとに、男の肺から、空気がこぼれていった。
男の体をガクガクと揺らし、その肺にたまっている空気をすべて吐き出させる。
その残酷な行為を、まりあは顔色かえずに行う。
えりかのようにその残虐な行いを楽しむことはなく、ただ男にを”教育”するためだけに、その怪力を使う。
それだけに、まりあの調教は熾烈をきわめるものになった。
男の瞳からは黒目がなくなり、すぐさま白目になる。
体からは力がなくなり、ダランという具合に弛緩し、されるがままにされるだけ。
しかし、まりあは、その人形のようになってしまった男を許すことなく、さらに激しく男の体をガクガクと揺らす。
男の体が上下する。
後ろからスリーパーホールドをかけながら、初等部の女の子が、男を犯していく光景・・・・・
「苦しいでしょう。頸動脈を絞めてませんからね。簡単には堕ちることはないんですよ。これがずーと続くんです。苦しみだけが続き、人格が壊れるくらいになるまで絞めあげてあげます」
「・・・・ギャギャひゃひぎぎッッ!! ・・・・ひゅぐウウウ・・・・!!」
「この前も、礼儀がなっていない大学生の方を3時間くらい”教育”してあげましたからね。貴方もそれくらいお仕置きしてあげます。そうすれば、いくら物覚えの悪い貴方でも分かるでしょ?」
白目を向き、動物じみた言葉をあげながら、男は苦しみを甘受するしかない。
どうにもならない。
暴れてもどうにもならない。
小さな体躯の初等部に、自分は絞められ続けて・・・・・
(ゆるして・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・)
まったく非がないというのに、男はまりあに心の中で許しを乞う。
許してもらえれば他に何もいらなかった。
苦しくて苦しくて、もういっそのこと殺してくれれば・・・・・
命乞い。
目の前の少女に土下座でもなんでもして、許しを乞いたい。
許してほしい。
自分が全面的にすべて悪かった・・・・
だから・・・・
だからもう・・・・お願いだから許して・・・・!!
「ひぎゃギギギびゃあああッッ!!」
「叫んでも無駄です。誰もこの図書室には来ませんよ。このまま何時間も絞めあげて、貴方の性根をたたきなおしてあげますから、覚悟してくださいね」
まりあは、さらに男の体をガクガクとゆらす。
気絶しそうになると少しだけ腕の力をゆるめて、息を吸わせてやる。
グッタリと気絶しているように見えるが、そんな”意識を失う”というような救いを、まりあが男に与えるわけがなかった。
1時間を越えたとき、すでに男のプライドは完全に粉砕していた。
2時間を越えたとき、男は人間としての尊厳すら失い、ただただまりあに許されてことだけを祈った。
気絶させてもらえずに、後ろから羽交い締めにされ、スリーパーホールドをかけられ続ける。
年端もいかない少女に、なぶりものにされる。
何時間も男の暴れる体を押さえこみ、首を絞めているというのに、まりあは疲れた様子などみせない。
まりあがその気ならば、一生このまま、男を絞め続けることだってできるだろう。
絞めて絞めて絞めて、気絶しそうになると息を吸わせる。
それを繰り返し繰り返し続け・・・・そして、まりあの宣言通りに3時間後・・・
閑静な図書室には、物言わぬ人形となった哀れな男の姿があった。
「アヒャ・・・・ぎゃヒャ・・・ひゅひゃひゃ」
「―――もういいでしょうか」
3時間後。
冷徹に男を調教し続けたまりあは、ついに男の首を絞めるのをやめてやった。
首から腕を離す。
力が抜け、筋肉という筋肉が弛緩している男の体が、ドサっと床に崩れ落ちた。
そのうつ伏せの状態で倒れ込む男の姿を、まりあは絶対零度の眼で見下ろすと、男の髪をつかんでひきずり起こした。
怯えきった男の顔を、睨み付ける。
「何か言うことはありませんか?」
初等部の少女に、威圧される。
自分とは違う高位の存在。
男は、怯えきった様子をそのままに、まりあに対して、
「す、すみう゛ぁせんでじたああ!! もう、しばせんがら・・・・・ゆ、ゆるじでくだざいいいッ!!」
「・・・・・今度、本を元の場所に戻さなかったら・・・・分かってますね?」
「ひゃいいいいいッッ!! もうじばせんから・・・ゆるじで・・・・ゆるじでぐだひゃいいいいッッ」
自分の責任ではないことに、男は心の底から懺悔の言葉を口にする。
男の心はとっくの昔に折れており、まりあの命令ならば、床だって舐めたことだろう。
自分とは一回りも歳が違う少女に対して、崇拝にも似た従順を誓う男。
そんな犬のような様子・・・・・もう絶対に、マナー違反をしないであろう男の様子を見て、まりあは「ふう」と息をこぼした。
そして―――
「分かればいいんです。これからはしっかりマナーを守ってくださいね」
まりあは言うと、さきほどまでの強面な表情が嘘のような、満面の笑みを浮かべた。
そして、地面に這い蹲っている男の頭をゆっくりと撫で始める。
その涙と鼻水に汚れた髪を、優しい手つきで撫でていく。
下等生物に向けるような、慈愛の感情。
聞き分けのいいペットを褒めるように、まりあは満面の笑みを浮かべて、男の頭をなでてやった。
そこには、年相応の可愛らしい少女の姿だけがあった。
「アア・・・・」
男は、まりあの笑顔と、頭を撫でてくる手の感触に、恍惚とした表情を浮かべ始める。
さきほどまでの鬼神のような強さと、今のほんわかとした慈愛に満ちた優しさ。
そのギャップにやられてしまった男は、自分が初等部の女の子に、明らかに”下”に見られているというのに、恍惚とした表情を浮かべる。
目の前の、まりあの笑顔に、男は女神でも見るような様子で、大人しくされるがままになっている。
初等部と大学生。
飼い主とペット。
ご主人様とその奴隷。
まりあは、そんなペットの犬のような態度になった男を、いつまでも撫でてやっていた。
(終わり)
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