「ひ、ぎ・・・・・ぎゃアッ」


 プロレスのリングで、美香さんと、プロレス部の男子部員とが練習試合をしていた。

 まだ発育しきっておらず、幼い感じのする美香さんが、高等部の男子部員を圧倒している。

 リングの中央で、美香さんは男に、胴絞めチョークスリーパーをかけていた。

 それは見事な技だった。

 完全に極まっていて、美香さんの長い脚が、男子の胴体に食い込み、その体を拘束している。

 その状態で、美香さんは背後から、男の頸動脈を絞めあげているのだった。

 リング場で、少女に抱きしめられ、技をかけられている男子。

 力の差は明らかで、美香さんはさきほどから、男子部員の力を圧倒していた。


「ほらほら〜、もっと絞まっていくよ〜」


 ぎゅううううッ!


「ヒッギャ・・・・やみゃ・・・・」


 口から涎をだし、なんとか技をとこうとがんばる男子部員。

 しかし、彼がジタバタとあがくたびに、美香さんは体勢を機敏に建て直して、男の体をなおも拘束下においていた。

 初等部の・・・・・まだ女の子としての能力に目覚めていない幼い少女に、一方的に痛めつけられていく男。

 僕は、褐色の肌をもった、健康そうな少女の姿に、さいど恐ろしさを感じた。


「ギ、ギブア・・・あぎゃ・・・・」


 降参の意志表示をしようとした男の声帯は、美香さんの絞めつけによって封殺された。

 幼い少女は、男子のギブアップを許さないのだ。

 タップしようとするたび、その腕をとるか、体勢を変えることによってうやむやにしてしまう。

 そのうえで、美香さんは天真爛漫な様子をそのままに、自分の腕で悶え苦しむ男の様子を楽しんでいるのだ。

 まさに、佐織様が言った通り、美香さんは天性のサディスシャンだった。

 これでまた、女の子の能力に目覚めていないのだから恐ろしいはなしだ。

 男子部員と比べて小柄な体躯しか有していないのに、これだけ男を圧倒してしまうとは・・・・・

 いつしか、僕と他の男子部員は、美香さんの褐色の肌に見入られていた。


「ア・・・ひ・・・・・・」


 黒目が完全になくなって、ブクブクと泡を吹いてしまった男子部員が、美香さんの腕の中で意識を失った。

 男の体はビクビクと、無様に痙攣している。

 美香さんは、完全に墜ちた男にさえ、慈悲を与えることはなかった。

 ビクビクと痙攣する男を、さらにぎゅうううと絞めあげる。
 
 男の痙攣がさらに増すのを背後からニコニコとのぞきこむ美香さん。

 初等部の少女に、男子が、無様に墜とされた瞬間だった。


「あーあ、楽しかった♪」


 ひとしきり男を絞めあげ続けた美香さんは、満足気な声をあげてから、ぐったりと体中の力を失ってしまった男を解放した。

 立ち上がり、リングの上で無様に気絶している男を見下ろす。

 美香さんは、くすりと笑みをもらすと、言った。


「じゃあ、次の人、リングにあがってもらおうかな♪」


 その無慈悲な言葉に、男子部員たちは戦々恐々として立ちすくむ。

 すでに、美香様には勝てないという事実を、体にたたき込まれているのだ。

 1ヶ月もたたないうちに、美香さまはプロレス部の男たちの実力を上回ってしまっていた。ほぼ全員が、美香さまの腕で墜とされ、その長い脚に締め墜とされていたのだ。

 楽しそうに、無邪気に笑いながら、プロレスのリングで、ゆっくりと男のことをいたぶりる少女。

 無理もないだろう。僕は彼らを責めることはせずに、責任感からリングにあがった。


「あは。次は結城さんですね」


 嬉しそうに美香さんが言う。

 まだまだあどけない無邪気な表情に、小さな体躯。それとは裏腹な、男のことを虐めて喜ぶ性癖は、気絶してビクビク痙攣している男の顔を、ふみつけて遊んでいることに如実にあらわされていた。


「たーっぷり、虐めてあげますね。結城さんは頑丈だから、一回くらい気絶したくらいじゃ、許してあげませんからっ♪」


 すでに、僕に勝つことは確定事項といった口ぶり。僕は、それにはなにも答えず、美香さんにむかいあった。

 嗜虐的な笑みを浮かべた美香さんが、ゆっくりと僕にむかってくる。

 地獄の時間がはじまった。


 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・

 ・・・・


「く、あ・・・・」

「あはっ。結城さんの体、真っ赤になっちゃいましたね♪」


 トントン、と、軽くジャンプをして、リズムをつけながら美香さんが言う。

 その体は流動的で、いつなんどき、またあの拳や蹴りがおそってくるかもわからない。その恐怖心に、僕の体はそれだけで萎縮してしまっていた。


「ふふ、もっともっと殴ってあげますね」


 ボスン! という打撃音とともに、僕の体は九の字に曲がる。

 もう何度目かもわからないボディへの一撃だった。

 それは、少女とは思えない威力で、一撃にして目が裏返し、舌が飛び出て、そのままブラックアウトしてしまいそうになる。

 膝から落ちそうになった僕に、美香さんは膝げりで僕の腹を下から上へ持ち上げ、そのまま、僕には反応できない拳を、顔面に降りおろしてきた。

 顔面への拳も容赦がなく、デスメタルの首ふりのように、僕の首から上がぶるんぶるんと、左右に揺れる。

 目の前には、全身バネのようなサラブレッドの筋肉に身を包んだ小さな体躯がある。

 彼女は本当に嬉しそうに、何度も何度も、僕のことを殴り、その長い脚で蹴り続けた。

 ようやく連続打撃が終わり、気づくと、僕の体はリングの上に横たわっていた。


「アハ。ダウンですか? でも、プロレスではダウンは認められませんよね」


 るんるんと鼻歌を歌いながら、美香さんは、僕の髪の毛をつかむと、強引に持ち上げ、そのボコボコに晴れ上がった顔をのぞきこんだ。

 嗜虐的な興奮に、美香さんは満面の笑みを浮かべる。しかし、これくらいで彼女が満足するわけがない。


「そうだ。まだ、蹴ってないところがありました」


 くす、と笑った美香さんは、勢いよく、僕の競技用パンツを脱がした。

 強引に、はぎとられてしまう。

 女の子に、唯一の衣服を脱がされてしまったのだ。

 美香さんが、あらわになったものを、嘲笑とともに見つめた。


「あはっ。ちいさーい。結城さんの、縮こまってるじゃないですか!」

「う、ううう」

「ひょっとして、怖いんですか? 初等部の、まだ能力なんてもってない女の子が怖くてたまらないんですか?」

「・・・・・・・・・・」

「返事をしなさい」


 すうっと、美香さんの片足が上げられた。

 長い脚が、彼女の頭あたりまであがる。

 その不安定な体勢にもかかわらず、美香さんの体はぴくりともブレなかった。そして、


「えい♪」

「ひっぎゃあああ!」


 勢いよく、降り上げられた片足が降りおろされた。

 美香さんのかかとが、僕の股間に直撃。

 視界が一転してブラックアウトする。びくびくと体が痙攣し、白目をむいて、僕は気絶してしまった。


 ・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・


「ぶぎゅ、ぶっふううう!」

「あ、やっと起きた」


 気絶から目覚めた僕を待っていたのは、壮絶な水責めだった。

 美香さんが、僕の頭を掴んで、強引にバケツの中につっこんでいる。

 そのバケツの中にはなみなみとつがれた水があって、僕の頭は、そのバケツの中に押し込まれていたのだ。


「もう、あれくらいで気絶しちゃダメですよ、結城さん」

「う、あ・・・・・・?」

「ん? まだ完全に目覚めてないんですか? それじゃあ、もう一回ですね」


 無慈悲に言うと、また勢いよく、僕の頭部をバケツの中に突っ込む。


「むっひゅ、ぶっぎゅううう!」

「はーい。ちゃんと起きてくださいねー」


 ぐいっと、さらに美香さんの力が増した。

 僕の顔面は、鼻先が、バケツの底につくくらいまで押し込まれている。

 必死に暴れているのだが、美香さんの絶妙なコントロールで、すべて抵抗は無効化されていた。

 初等部の女の子に、水責めされている。その屈辱的な行為に、僕はどうにかなってしまいそうだった。


「ふふ。やっと起きましたか?」


 ひとしきり水責めを楽しんだ後、美香さんは、僕の髪の毛をつかみ、強引に上を向かせた。

 そして、立ち上がった彼女は、僕の顔を上から冷たく見下ろすのだった。

 同年代の女の子たちと同じような、怜悧なまなざし。目の前の男のことを、同じ人間とは思っていないような冷たい視線。その瞳には、侮蔑と軽蔑しかうつっておらず、僕の体は底冷えする。


「ふふっ。ほんと、男子って情けないですよねー」


 美香さんが、続けた。


「女の子に、こんなになるまでボコボコにされたっていうのに、ぜんぜんくやしそうじゃないですもんね」

「う、あ・・・・・・・」

「まだ、プロレスを教わって1ヶ月もたってないのに、わたしのほうが結城さんより強くなっちゃいましたもんね」

「ひ」

「情けないなー。これじゃあ、弱いもの虐めじゃないですか。強い男の子を、ぼっこぼこにするのが楽しいのに」


 ふうと、ため息をつく美香さん。彼女は、諦めたような表情を浮かべて言った。


「まあいいです。よわっちい男でも使いようによっては気晴らしになりますしね」

「み、美香さん」

「今日から結城さんは、わたしの練習台です。寝技からはじまって、打撃技まで、わたしの相手をしてもらいますからね」

「え?」

「人間サンドバックですよ。ふふ、もちろん、抵抗してもらってかまいませんよ? 本気で、わたしのことを負かしにかかってもらってけっこうです。もっとも、結城さんが、抵抗できるなんて、思ってませんけどね」


 狩人の目で獲物である僕のことを見つめる美香さん。僕は、あまりの恐怖に、後ずさりしてしまった。


「それじゃあ、今日はこれから寝技の練習台になってもらいます。あまりにも情けなかったら、両腕両足の骨、全部、ぼっきぼきに折っちゃいますからね。覚悟してください」


 その後、美香さんは、正確に僕の体を壊していった。

 チョークスリーパーからはじまって、三角締め、腕ひしぎ十時固め、アームロック。

 ありとあらゆる技をもって、僕の体を締め付け、ひねって、壊していく。

 さきほどの言葉どおりの「練習台」「人間サンドバック」。

 僕は、初等部の女子に、おもちゃにされてしまっているのだ。


「うーんと、こうすればもう少し締まるかな?」


 無邪気な言葉とともに、美香さんは、右足の角度を変え、さらに力をこめた。

 首4の字固めである。

 美香さんの、引き締まった長い脚が、僕の首にからまり、頭部を包み込んで、ひねりあげていく。

 その褐色の脚は、逞しいそれではなかった。

 細く、ほっそりとした、年相応の脚。

 それなのに僕は、まったく手も足もでずに、美香さんに技をかけられたままだった。


「ひ、っぎゃ・・・ああ」

「あはっ。7度目の気絶ですね、結城さん。黒目が裏返っちゃって、口からはブクブク泡をだして・・・・・情けない顔♪」


 首4の字固めをかけながら、美香さんが嗜虐的な笑顔を浮かべながら言う。僕は彼女の意のままにされて、意識を失った。


 気づいたとき、僕はリングのコーナーに背中をつけて座っていた。何度も気絶させられて意識がもうろうとする。やっと周囲を認識できるようになったとき、僕は愕然とした。


「あ、結城さん。起きた?」


 美香さんがうれしそうに言った。

 彼女は、チョークスリーパーで男の首をしめている最中だった。

 さんざんいじめられたのだろう。

 彼女の腕の中にいるプロレス部の男は全裸で、全身が真っ赤にはれあがっていた。ぶくぶくと泡が口から漏れ、目が白目をむいている。すでに抵抗らしい抵抗もなく、ぐったりしていた。

 そして、それは彼だけではない。

 リング上には、プロレス部の部員たちの屍が転がっていた。

 全員意識を失っており、全身を痛めつけられているのが分かる。ぜんぶ美香さんがやったのだ。まだ能力にも目覚めていない女の子が、この短時間で。


「ふふ、じゃあこいつは解放してあげよう」


 どさっと、美香さんは男を地面に放り投げた。

 そして、にんまりとした笑顔を僕に向け、こちらに歩いてくる。

 恐怖を感じた。恐ろしすぎて、僕は「ひひいい」と悲鳴をあげてしまった。


「ふふ、結城さんはやっぱり頑丈なんだね。ほかの人で遊んだんだけど、みんなすぐに壊れちゃうんだもん」

「う、あ」

「わたし、結城さんのこと気に入っちゃった。今日から屋敷に住んでよね」

「え?」

「結城さんは、今日からわたしの専属奴隷。えへへ、毎日た〜っぷり、虐めてあげるからね」


 妖艶な笑みとともに美香さん・・・・いや、美香様は言う。

 僕はこれから、毎日彼女に殴られ、絞められ、虐められるのだろう。彼女が満足するまで、ずっと、ずっと。


「ふふ、首輪は今度用意するとして、いま結城さんがやらなくちゃいけないこと、分かってるよね?」


 僕の前に仁王立ちになって、こちらを見下ろしてくる美香様。

 長いカモシカのような足が目の前にあり、見上げれば佐織様を思わせる理知的な瞳がこちらを見下ろしていることに気づく。

 僕は、彼女の前で土下座した。そして、当然のようにさしだされている足先に、口づけをする。

 忠誠の証。

 女の子には、絶対に服従のポーズ。

 僕は、まだ能力にも目覚めていない女の子の奴隷となったのだった。


「うん。よくできました」


 満面の笑みとともに美香様が言う。


「じゃあ、シャワーあびるから。背中流してよね」

「・・・・はい」


 こうして、1ヶ月にも満たない間に、美香様はプロレス部の誰よりも強くなってしまった。

 まだ身体能力では上回っているというのに、その技量の前・・・・・才能の前には、誰もかなわなかったのだ。

 僕は、美香様の奴隷として、彼女に飽きられるまで、生きていくことになる。

 おそらく今夜は、寝かせてもらえないだろう。